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交通事故で後遺症が残ってしまったときの後遺障害等級認定手続き

交通事故の後遺症が残ったときの後遺障害等級認定手続きには2つの方法があります。事故で負ったケガの治療やリハビリを継続し、医師から「症状固定」の診断を受けたところから、具体的な手続きがスタートします。今回は交通事故での後遺症の後遺障害等級認定手続きについて紹介。

交通事故の後遺症が残ってしまった場合

交通事故にあって、治療を行ったとしても、身体が事故の前の状態に完全に回復するとは限りません。症状固定とされる時期を迎えても、例えば骨折後関節の可動域が完全に回復しない、むち打ちになった後の手足の痛みやしびれがなくならない等の後遺症が残ってしまうことがあります。後遺症が残った場合、当然、それに見合うだけの示談金を払ってほしいとお考えになるでしょう。

交通事故で後遺症

しかし、交通事故の後遺症が残ったというだけでは、慰謝料などの示談金が増額するわけではありません。

そこで、今回は、交通事故で後遺症が残ってしまった場合に、それに見合うだけの適切示談金を得るために知っておくべきことをご説明します。

交通事故の後遺症、後遺障害とは

交通事故の後遺症

後遺症とはこれ以上治療を進めても、症状は改善されない状態の事を指します。
後遺症が残ってしまうと、一生その後遺症と付き合って生きていく事になります。

交通事故で後遺症

ですが、レントゲンなどで痛みの原因が明らかに分かる場合や、身体への影響による利益の損失(片腕が動かないから仕事ができない=給料がもらえない等)がはっきりしていないと、後遺症に対しての慰謝料はもらえません。
後遺症への慰謝料は後遺障害のみとなります。

後遺障害の認定条件の6つとは

これと似ている言葉に「後遺障害」というものがあります。

交通事故の後遺症と後遺障害の違い?

後遺症と後遺障害は混同されがちですが、実は違います。後遺障害も後遺症のくくりの中に入っていて、後遺症の中でも6つの条件を満たせば、それは「後遺障害」つまり、「後遺症の内、等級として認定されるもの」ということになります。

交通事故の後遺症のうち、① 交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害(ケガ)が ② 将来においても回復の見込めない状態(症状固定)となり ③ 交通事故とその症状固定状態との間に相当因果関係が認められ、 ④ その存在が医学的に認められる(証明できる、説明できる)もので、 ⑤ 労働能力の喪失(または低下)を伴い、 ⑥ その程度が自賠法施行令の等級に該当するもの
に該当するものが後遺障害となります。

交通事故で後遺症が残った

つまり、「首が痛いから慰謝料ください」は通用しないということです。
簡単に認められるものではないから、首の痛みなどについては、よりいっそう早めの治療で完治しておくべき必要があります。

交通事故で後遺症が残ってしまったときにやるべきこと

後遺障害等級認定手続き

後遺障害等級認定は、「損害保険料率算出機構」の調査結果に基づき、保険会社によりなされます。

「損害保険料率算出機構」とは、損害保険料率算出団体に関する法律に基づき、設立された法人で、任意保険会社等から独立して、公正に損害調査を行います。この調査結果は、後遺障害等級認定に、非常に強い影響力を有しており、事実上、損害保険料率算出機構の判断により後遺障害等級は定まっています。

交通事故の後遺障害等級認定手続き

請求者(被害者・保険会社)の書類に基づき、損害保険料算出機構が各地に設置した、「自賠責損害調査事務所」が調査を行います。
ここでは一次的に、診断書を含めた請求書等を中心に調査し、二次的に、請求書等の内容だけでは事故に関する事実確認できないものにつき、「事故当事者に事故状況照会」「病院照会」「事故現場調査」を行うといわれています。

なお、後遺障害の立証責任は被害者にあります。
請求書等で、自らの後遺障害を明らかにしていく必要があります。

被害者の「交通事故の後遺症」が「後遺障害」に該当するためには、自賠責調査事務所から後遺障害等級の認定を受ける必要があり、そのための申請を行います。この申請方法には、「事前認定」と「被害者請求」という、2つの方法があります。

いずれの手続きであっても、最終的に後遺障害に該当するか否かを判断するのが自賠責調査事務所である、という点は同じです。

事前認定

事前認定は、手続きを加害者の任意保険会社が行うので、被害者としては手間がかからず、楽ではあります。

交通事故で後遺症が残った

しかし、事前認定では、全て保険会社任せのため、被害者はどのような資料が任意保険会社から自賠責調査事務所に提出されているか、全くわかりません。

当然ですが、任意保険会社は民間の企業であり、営利を追求するものです。営利企業としては、支払う示談金が高くなることは良いことではありません。先に述べたとおり、後遺障害等級が認定されると、示談金額が高くなってしまうので、保険会社の担当者が、必ずしも被害者のために等級が認定されるようにするための書面を提出してくれるとは限りません。

被害者請求

被害者請求では、資料の作成や収集、申請手続きといった後遺障害等級について必要な全ての手続きを、被害者側で行います。加害者側の任意保険会社を挟むことはありません。

交通事故で後遺症が残った

そのため、ご自身が申請時に提出した書面は、間違いなく自賠責調査事務所に届きますし、ご自身が特に訴えたい点に関する書面を積極的に提出することもできます。

以上の理由から、より正確に被害者に残存した症状を訴えることができ、適切な後遺障害等級が認定される可能性を高めるために、後遺障害申請は、被害者請求の方法で行うべきだと言えます。事前認定よりも手間は多少増えるものの、ご自身で十分行うことのできる手続きですし、さらに弁護士など専門家の手を借りることもできます。

〔交通事故の後遺症〕被害者請求のフロー

加害者加入の自賠責保険会社から請求書類一式を取り寄せる

被害者請求では、基本的に提出しなければならない書類が決まっており、それぞれの書類ごとにフォーマットも定められています。これらのフォーマットは加害者の自賠責保険会社から送付してもらって入手するのが一番確実です。

自賠責保険会社から請求書類一式を取り寄せる

交通事故証明書を取得すれば、加害者が加入する自賠責保険会社がわかるので、その保険会社の自賠責の窓口に問い合わせれば、被害者請求をするのに必要な書類一式を送付してもらえます。

交通事故証明書は、ご自身で自動車安全運転センターから取り付けることもできますが、通常は、加害者が任意保険会社に加入していれば、その保険会社からコピーを送付してもらえます。

主治医に後遺障害診断書を作成してもらう

症状固定の段階で、先生の方から後遺障害について話があり、その時に作成してもらえる場合も多いかと思います。先生からそのような話が無い場合でも、後遺障害診断書を持参し、「後遺障害診断書の作成をお願いします」と依頼をすれば作成してもらえます。

交通事故の後遺障害診断書

その他必要書類、資料の収集

後遺障害診断書のほかに、交通事故証明書や症状固定までの月々の診断書と診療報酬明細書、MRIやレントゲンの画像等をとりつける必要があります。これらの書類・画像等を任意保険会社や病院から取り付けます。

さらに被害者請求では、たとえば検査結果についての医師の意見書等、被害者側で強調したい点についての書面を添付することもできます。

自賠責保険会社へ提出する

作成・収集した資料を、加害者の加入する自賠責保険会社に対して提出します。
提出された資料は、自賠責保険会社を介して、自賠責調査事務所へ送付されます。

自賠責調査事務所で調査

自賠責調査事務所が調査

自賠責調査事務所が、後遺障害等級に該当するか否かを調査します。必要に応じ、被害者側から提出した書類のほかに、調査事務所が独自に医療調査や現場調査を行うこともあります。

調査結果報告

調査が完了すれば、自賠責調査事務所が、後遺障害等級に該当するか否かの結論を出します。調査事務所は、その結果を加害者加入の自賠責保険会社に対して報告し、自賠責保険会社から、被害者に対して報告がされることになります。

自賠責調査事務所が結論を出します

損害保険料率算出機構の調査結果に基づいて支払いがなされています。

また、このとき、後遺障害に該当すると判断されれば、等級に従って、自賠責分の示談金が先行して支払われます。この自賠責分の先行支払いがあることも、被害者請求の特色です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。不幸にも交通事故により後遺症が残ってしまった方は、ぜひ被害者請求を活用して後遺障害等級の認定を受けて頂ければと思います。

交通事故の後遺症

交通事故に遭った場合、専門的な交通事故治療や施術を受けることが大切です。交通事故によって引き起こされる後遺症の代表的なものとしてむち打ちが挙げられますが、その他にも後遺症は存在しています。

「交通事故での後遺症」について、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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