交通事故の、特に人身事故の刑事処分である罰金について説明します。
2016/03/26
とっぱらや
交通事故で揉めるのは損害賠償。示談交渉は加害者の保険会社と被害者の保険会社が勝手に決めてしまい当事者は蚊帳の外。保険会社の担当員はいわば「その道のプロ」。口車に乗せられて専門知識に疎い一般人は十分な損害賠償を受けられないことも。今回は交通事故の損害賠償について
交通事故損害賠償請求における最大の争点は「損害」です。
被害者側が損害賠償請求をする場合の基準として用いられてるのが、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」という書籍(通称「赤い本」)の基準です。
交通事故の損害賠償
この書籍は毎年改定されており、交通事故の損害賠償請求事件だけでなく、その他の損害賠償請求事件においても基準とされているほどです。
また、弁護士のみならず、裁判官も参考にしているとのことです。そのため、裁判においても、この赤い本の基準をベースにした判断がなされることが少なくありません。
この赤い本によれば、人身事故における「損害」として以下のようなものが挙げられています。
● 治療費・入院費・弁護士費用等の積極損害
● 休業損害・逸失利益等の消極損害
● 慰謝料
これら財産的損害(積極損害・消極損害)と精神的損害(慰謝料)が基本的な損害となり、さらに診療費・入院費・休業損害などの個別の損害項目に分けられ、それぞれ個別に検討されることになります。
交通事故
大きく分類すると,交通事故損害賠償請求における「損害」は,財産的損害と精神的損害に分けることができます。
財産的損害とは、文字どおり財産に対する被害を損害として扱うものです。この財産的損害はさらに、積極損害と消極損害に分類されます。
積極損害とは、事故によって被害者が支払うこととなった費用で、次の費用の合計額です。
交通事故に遭った場合、まず必要となる支出といえば医師による診療・治療のための費用でしょう。入院費などが必要となる場合もあります。後遺障害事故の場合などには、症状固定後の将来の診療費等が認められる場合もあります。
〔交通事故の損害賠償〕診療費・治療費
交通事故でのケガで入院や通院をする場合、傷害の程度によっては誰かに付添をしてもらわなければならないということもあるでしょう。付添看護費は、積極損害として認められています。後遺障害事故の場合、症状固定後の将来の付添看護費が認められる場合もあります。
〔交通事故の損害賠償〕付き添い看護
入院をするといろいろな雑費がかかります。この入院雑費も認められることがあります。裁判基準では、入院1日につき1,500円が基本とされていますが、それを超える雑費についても認められる場合はあります。また、後遺障害事故の場合、症状固定後の将来の雑費についても認められる場合があります。
通院のための交通費も認められます。この通院交通費は、基本的には公共交通機関の利用料金ですが、例外的にタクシー利用が認められる場合もあります。通院先が遠方などの特別な事情があれば、宿泊費等も認められる場合もあります。
通院のために付添が必要であれば、付添看護費のほかに付添人の通院交通費も認められます。また、後遺障害事故の場合であれば症状固定後の将来の通院交通費が認められる場合もあります。
入院や通院における付添看護とは別に、傷害の程度によっては通勤や通学に誰かが付き添わなければならないということがあります。この場合の通勤・通学のための付添費が積極損害として認められることもあります。
〔交通事故の損害賠償〕装具・器具等の購入
交通事故で傷害・後遺障害を負った場合、義歯・義眼・義手・義足・人工カツラ等の装具や、車いすや松葉杖、メガネ・コンタクトレンズ、歩行補助器、頸椎装具など、また介護用ベッド・折り畳み式スロープ・人工呼吸器などの介護用品が認められます。
後遺障害事故の場合は、これらの将来の買換え費用が認められる場合もあります。
後遺障害事故の場合、自宅や自動車などを後遺障害者用に改造しなければならない場合があります。この場合、自宅や自動車などの改造費が認められることがあります。
もっとも、自宅や自動車を改造して利便性を高めることは、その家族にとっても利益があるということから一定限度で減額されることがあります。
葬儀費用は裁判基準では150万円です。
交通事故による損害賠償請求をするために、各種の書類取寄せのための費用を支払ったり、手続費用を支払ったりする場合があります。これらの損害賠償請求手続に関連する費用が認められる場合があります。たとえば、診断書の作成手数料、医療記録の照会手数料、保険金請求のための手数料、医師による鑑定書の作成手数料などが挙げられます。
〔交通事故の損害賠償〕弁護士報酬
交通事故の損害賠償請求は、弁護士に依頼して損害賠償請求を行うということが少なくありません。他の事件ですと、一般的には弁護士費用は認められませんが、交通事故の場合は、弁護士費用も認められています。弁護士費用として認められるのは請求認容額の1割程度というのが通常です。
交通事故による損害賠償請求権は、法的にいえば不法行為に基づく損害賠償請求権です。
この不法行為に基づく損害賠償請求権には、不法行為の日から年5%の遅延損害金が認められます。
消極損害とは、交通事故がなければ将来得られたであろう利益です。
交通事故でケガをした場合、治療などで休業しなければならなくなることがあります。交通事故に遭わなければ得られたはずの休業中の収入や利益は「損害」として賠償請求できます。
〔交通事故の損害賠償〕休業損害
休業損害が問題となるのは、基本的には傷害事故の場合です。特に、後遺障害のない傷害事故の場合には、この休業損害が消極損害の中心的な問題となります。
逸失利益(狭義)も問題となってきます。逸失利益(狭義)とは、簡単にいえば、休業損害以外の交通事故によって失われた将来得られたはずであろう利益のことです。
〔交通事故の損害賠償〕逸失利益
狭義の逸失利益が問題となるのは、後遺障害のある傷害事故と死亡事故の場合です。
狭義の逸失利益は、交通事故損害賠償の中でも損害額が非常に高額になることがあるため、激しく争われる問題です。
交通事故でケガをすれば、精神的な苦痛を被ります。この精神的な苦痛を金銭的に換算し「損害」として扱うものを精神的損害といいます。この精神的損害の賠償金のことを「慰謝料」と呼んでいます。
〔交通事故の損害賠償〕精神的損害
交通事故では、即死を含め死亡事故の場合でも精神的損害が発生するということで慰謝料請求は認められます。
交通事故での損害賠償について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。交通事故に巻き込まれて被害者になった場合、自分の被った被害を「物的損害」と「人身損害」に分けて考え、請求可能な損害は全て請求してみるのが基本です。また、人身損害に関しては、後で後遺症が発症するかもしれませんので、慌てて示談をせずに医師から症状固定を言い渡されるまで、慎重に交渉しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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