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自動車の安全装置自動ブレーキ 誤作動事故の心配はないの?

国産車でも広く浸透してきた自動ブレーキは、バスやトラックなどはすでに義務化されており導入が進んでいるようです。安全装置として期待される自動ブレーキですが、誤作動事故の心配はないのでしょうか?そしてどの程度事故を防ぐことが出来るのでしょうか?

自動ブレーキとは

自動ブレーキ

自動ブレーキとは、衝突被害軽減ブレーキのことで、自動車に搭載したレーダーやカメラから障害物を感知し、運転者への警告やブレーキの補助操作を行います。自動ブレーキ搭載車両は、運転時に常にコンピューターが前方への警戒を行っており、前方車両へ接近したり障害物を感知すると、音声などで警告が発せられます。そして衝突が避けられないとシステムが判断した場合に、自動ブレーキが作動します。その他にも、シートベルトの巻き上げやブレーキの効きを強めるなどの衝突に備えた予備動作も行われます。

自動ブレーキの義務化

現在自動ブレーキは、2014年11月から大型トラックやバスの新型車への搭載が義務化されています。数年前までは、自動ブレーキは高価で知名度の低いものでしたが、最近では標準装備が当たり前になりつつあり、広く浸透し始めています。

しかし、自動ブレーキをまだ信用できていないという方もいるのではないでしょうか?

自動ブレーキの事故の可能性

自動ブレーキ事故の可能性は?

自動ブレーキの普及で不安に感じるのが、誤作動で事故を起こしてしまうのではないかということです。実際に自動ブレーキが効かないという誤作動事故が起こってしまったこともあります。

2013年11月に、埼玉県の自動車販売店でマツダ車の自動ブレーキ体験試乗会が行われ、2人が重軽傷を負う事故が起こりました。障害物を検知して、自動ブレーキをかける機能の体験走行を実施したところ、7メートル先のウレタンマットに向かって走行し、自動ブレーキで停止するはずが、マットを突破し6.6メートル先の金網のフェンスに激突しました。この事故に関しては、販売員の説明不足と運転操作のミスが原因であることが分かりました。

他にも海外で自動ブレーキの実験をした際に、自動ブレーキが作動せずに人と衝突してしまったという事故もありました。

自動ブレーキ実験事故

これら実験の際の事故だけでなく、実際に公道を走っている際に、壁などに反応して自動ブレーキが急にかかり、後続車に追突されたという事故もあります。このように自動ブレーキの誤作動による事故が多発し、ホンダやトヨタなどリコールとなった車も少なくありません。

自動ブレーキの比較

自動ブレーキ比較

自動ブレーキはメーカーによって、障害物を検知するセンサーが異なります。そのセンサーの違いをまとめてみました。

①ホンダやトヨタ車などに搭載されている、「ミリ波レーダー」。これは、遠方の障害物を検知でき、悪天候にも比較的強く逆光も苦にしないというメリットがあります。ただ、コストが高く、前方を走る車を検知する機能なので、人間を障害物と検知することはできません。

②スバルのアイサイトが採用する「ステレオカメラ」は、カメラによって形状を認識するので、人間を障害物として見分けて停止できます。ミリ波レーダーに比べれば検知できる距離や角度が劣りますが、自動ブレーキとして十分な距離をカバーできます。悪天候や逆光が苦手ですが、価格は安価です。

③ムーヴやワゴンRなどの軽自動車に採用されている簡易自動ブレーキシステムは、「赤外線レーザー」が使われています。価格が安く、検知できる距離は30m先、自動ブレーキが作動する車速は時速30㎞が限界とされています。

車に比べて歩行者は動きが複雑で検知が難しいとされています。電柱や街路樹を誤検知してしまう恐れがあるため、自動ブレーキの中には対人事故の防止効果がないものが含まれています。2016年度からは自動ブレーキの対人事故防止効果の審査を設け、販売台数が多い25車種程度を調査公表し、機能の向上や消費者の車選びの参考にしてもらう考えがあるようです。

そのため、さらに自動ブレーキが進化しており、赤外線レーザーとカメラを組み合わせたものや、ミリ波レーダーとカメラを組み合わせたものなど、機能の向上が進んでいます。

自動ブレーキの衝突事故を防ぐ実験

ここで、自動ブレーキで衝突事故を防ぐために実施された実験の比較動画を見てみましょう。

自動ブレーキ比較実験

自動ブレーキによる事故の減少

出典:http://nge.jp

自動ブレーキの事故減少割合

安全装置としての役割がある自動ブレーキは、どの程度事故を減少させることに成功しているのでしょうか?

2010年から2014年にかけて、日本で発生した交通事故(交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータ)のうち、自動ブレーキを搭載したスバル車(「アイサイト(ver.2)」)と、自動ブレーキ無しスバル車について比較したところ、自動ブレーキ付きは無しに対して、約6割もの事故低減効果が見られるのです。特に追突事故に関しては8割以上の低減率で、極めて顕著な差があります

出典:http://trafficnews.jp

このように自動ブレーキは交通事故の割合を大幅に低減することができます。このような成果があるからこそ、現在普及が進み、トラックやバスへの義務化が始まっているということですね。

自動ブレーキの事故抑制が期待されます

自動ブレーキで事故軽減

現在日本で自動ブレーキは、事故抑制が期待され、普及が進んでいます。しかし、自動ブレーキは必ず止まるから自分は何もしなくてもいいというものではありません。あくまで、事故を回避するための安全装置なので、過信しすぎず、自動ブレーキが搭載されていても安全運転を心がけましょう。

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