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マツダとトヨタが環境・安全技術を中心とした業務提携をしました。

マツダとトヨタ業務提携をしました。環境・安全技術を中心としたものだそうですが、家柄も違い、収入格差のある両家の提携は大丈夫なのでしょうか?それ以上に、何のための提携なのでしょうか?今回はマツダとトヨタ業務提携について調べてみます。

業績好調のトヨタとマツダの技術提携が狙う次の一手とは

トヨタ自動車とマツダは2015年5月13日、環境・安全技術を中心とした業務提携を強化すると発表しました。
トヨタ自動車とマツダの2015年3月期の売上高は、トヨタ自動車の27兆2345億円に対してマツダは3兆338億円とかなりの格差があります。
そんな中で技術提携を結んだことは、2社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか・・・・?
規模において大きく勝るトヨタのメリットを疑問視する声もあるのですが、今回は、そんなトヨタとマツダの提携について調べてみます。

トヨタ自動車とマツダの技術提携のニュースを聞いて、思い浮かぶのはトヨタがグループ内の部品系列会社の改編を進めていることです。トヨタは、グループの部品主力サプライヤーであるアイシン精機やデンソーなどの重複事業を整理・統合しているのです。

「EV・FCV」時代見据え再編進めるトヨタ

1979年から米フォードと資本提携していたマツダに対し、83年にGMと合弁会社を設立するなど関係を深めてきたトヨタ。
住友銀行をメーンバンクとしていたマツダ、三井銀行と創業家が姻戚関係にあるトヨタ……。何から何まで対照的です。
そんな2社が、なぜ業務提携を強化するのでしょうか。

その理由は、当然コスト削減や生産効率UPということもあるでしょうが、もう一つ重要なのは、将来を見据えた戦略という点があると考えられます。

今後、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)が普及していけば、ガソリンタンクやミッション、サイレンサーなどの部品が不要になる可能性があります。
部品点数も大幅に少なくなっていくでしょうし、EV、FCV時代になれば、エンジンはモーターに変わり、車体の設計も大幅に変わります。

トヨタが燃料電池車の特許を無償公開

このようなことを考慮に入れれば、当然トヨタとしてはグループ内から自動車部品メーカー達の再編を進めて行くのではないでしょうか。

その一方で、トヨタはEVやFCVの開発に多くの技術者を取られることになり、完全移行になるまでの端境期にレシプロ・エンジンでの開発について限界が生じる可能性があります。

ある意味、その際の過渡期の時代を乗り切るための方策の一つが、今回のマツダとの技術提携とも考えられるのではないでしょうか。
もちろん、トヨタとしてはイザという時の「息のかかった」メーカーを増やしたいという思惑もあるでしょう。

トヨタ EV

好調時に提携しておきたいという思惑も

かつて、マツダは倒産の危機に瀕したことがありました。
2012年3月期には最終損失1077億円を計上し、4期連続の赤字となっていたのです。
リーマン・ショックによる景気の悪化、東日本大震災による影響、業績の落ち込みによるリストラ費用などがかさみ、非常に苦しい状況が続いていました。

その上、マツダは海外工場をほとんど持たず、国内で生産していますから、業績は為替相場に大きく左右されまので、アベノミクス前の超円高も輸出採算を悪化させ、苦境の原因だったのです。

ところがその後、デミオ、RX-8、CX-5、ロードスターなどがだい人気となりました。小型で、燃費が良くて、クリーン。デザイン性にも優れていると評価され、さらに円安が進んだことも重なり、2015年3月期の純利益は1588億円まで伸び、2期連続の過去最高益となりました。

そこで、「お互い業績が好調であるうちに提携しておこう」とトヨタとマツダは考えたではないでしょうか。もし、またどちらかだけでも業績が芳しくなくなったら、メリットは半減しますし“救済策”と言われてしまい、そこまで踏み込んだ提携を両社が今すぐ求めているとも言えないはずですから。

マツダの「技術力」とトヨタの「販売力」

マツダの2015年3月期決算を見ますと、中長期的な安全性を示す自己資本比率は35.2%。経営はかなり安定してきていると言えます。売上高も営業利益も順調に伸ばしています。

マツダは自動車メーカーとしては比較的規模の小さい会社ですから、他社と比較してそれほど多くの研究開発費用を割くことはできませんが、小型エンジンなどでは元々高い技術力をもっています。トヨタとの提携により、もしマツダが開発したエンジンを使用する車の台数が増えれば、マツダにとっても大きな収益源となります。売上増とともに、1台当たりの開発コストや製造コストが、量産により大幅に削減できる可能性があるからです。

トヨタにしても自社の開発をEVやFCVにシフトしている中で、過渡期を乗り切る意味でも、また途上国では今後も従来のエンジン、それも小型エンジンが必要ですから、マツダの「スカイアクティブ-2」など燃焼効率の高いエンジン技術は非常に魅力的です。今回の提携によってトヨタはそのメリットを得られるわけです。

前述したデンソーは言うまでもなくトヨタのグループ企業だが、実はマツダともエンジンの共同開発をしています。マツダの新世代エンジンシステム「スカイアクティブ」(既述)もデンソーなしでは実現できない技術なのです。このマツダとデンソーで開発するエンジン技術は、トヨタにとってもいずれ自社の利益となる一方、マツダがどこかの外資企業に買収されれば、国外流出する恐れさえもあるのです。

トヨタはマツダの「技術力」、マツダはトヨタの「販売力」や場合によっては「資金力」という、それぞれのメリットを見込んでいるからこそ実現した提携だったのです。

国家単位の長期的な視点で・・・・

トヨタは、マツダとの提携を単なる企業間関係ではなく、国家単位の長期的な視点で考えることも十分あり得ることです。
日本にとっての自動車産業は、外貨の約半分を稼ぎ出すまさに中核産業です。
その競争力を維持するためには、EVやFCVも大切ですがまずは内燃機関で絶対的な優位を確立することが前述したとおり先決問題です。トヨタは、それをマツダとの提携によって実現しようとしているのかもしれません。

トヨタとマツダは今後ますます関係を強化していく可能性も

外貨を稼ぐ対象として近年中国を視野に入れない訳にはいきません。
その中国政府は、おそらくFCVやEVの普及を目指していると考えられます。

現に、5月18日に中国政府は1600CC以下のハイブリッド車の「自動車使用税」を半分に軽減する税制優遇策を発表しました。
中国はPM2.5の問題が深刻ですから、大気汚染の改善のためにハイブリッド車を普及させようとしているのです。

今のところトヨタとマツダは資本提携せず、技術協力という形に留めていますが、中国でのFCVやEVの普及の如何によっては、今後はますます関係を強化していく可能性があるように思いませんか?
トヨタにとっては中国市場をにらんだFCVやEVの開発に注力し、マツダもトヨタの販売網の活用や生産受託によって、中国市場に攻め込むことができるというメリットも見込まれますよネ!!

トヨタとマツダの提携強化は次期トヨタ86開発にも波及?

「トヨタ86」と「スバルBRZ」は姉妹車で、トヨタ自動車が富士重工業と共同開発し、富士重工業が生産、トヨタ自動車が販売するFRレイアウトのスポーツカーなのは、ご存知ですネ・・・・?(詳しくは、下記をクリック)

スバルBRZ

それが両社にとってプラス方向に作用している訳ですが、次期モデルでも同じような開発体制が採られるかどうかは、今回の業務提携によってどうなるかが分からなくなっていると思われるのです。

おりしもプラットフォームを新設した4代目ロードスターが5月に発売となり、1ヶ月で既に累計受注台数が5,000台を超えたそうですが、マツダにしてみれば同プラットフォームを流用予定とされるFIAT向けの兄弟車以外にもコストダウンの観点から更なる共用モデルが欲しいところ。

となると、次期トヨタ86へのマツダ製FRプラットフォームの流用は開発コストの低減に繋がるだけで無く、このプラットフォームをベースに自社製ボディとエンジンを組合わせることで、スポーツカーとして重要な走りの「味付け」にタップリ時間が裂けるというメリットだらけの開発手法になりませんか?!

トヨタとマツダの提携。真の狙いはどこにあるか

ここまで見てきました通り、トヨタとマツダの提携には、幾つかの大きなしかもこれからを見据えた狙いがありそうです。

提携の発表会見では、両社長が「ふるさと」という言葉をたびたび強調していたということです。
そもそもこの2社は、三河の豊田市に企業城下町を形成するトヨタに対し、広島の府中町に本拠を構えるマツダということで、環境が似ているのです。

そんなことを考えていくと、2社の故郷である三河や広島の企業文化を守り、ひいては自動車産業、日本の産業構造を守っていくという、非常に高所・大所に立った提携なのではないでしょうか!!。

トヨタとマツダ 環境技術など業務提携に調印(15/05/14)

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