2015/11/15
YMOTOHASHI
その昔AE86という小型スポーツカーがトヨタにありました。非力なエンジンの割に評価の高い不思議な車でした。そのAE86のコンセプトを残しつつトヨタとスバルが共同開発をした「新86」が2012年にデビューしましたが、思惑通りの評価を得られているのか調査しました。
まずは現代によみがえったトヨタ86の元となった初代86(ハチロク)を振り返ってみましょう。
トヨタカローラ レビン
初代86の大元となったスポーツカー
厳しい排ガス規制の中、評価の高かった86レビン
ボディタイプ 2ドアクーペ/3ドアファストバッククーペ
エンジン 4A-GEU型 直4 1587cc
130ps/6600rpm
トヨタがカローラ系スポーツモデル「レビン」を世に送り出したのが1972年。初代レビンには標準装備でオーバーフェンダーが装着されていました。有鉛ハイオクガソリンを使用するその小型スポーツカーは、高い運動性能を誇り当時の若者から高評価を得ていました。
その四代目にあたるのがAE86(ハチロク)レビン/トレノです。
頭文字Dに登場するAE86スプリンタートレノ
86(ハチロク)にはカローラ系レビンとスプリンター系トレノの兄弟車がありました。搭載エンジンもシャーシも同一ですが、トレノはリトラクタブルヘッドライトを採用していました。
この漫画の威力は凄まじいもので、日本でのヒットにとどまらず海外ファンの心までガッチリと掴み、その高い人気と評価が2012年の「トヨタ86」を生み出すきっかけの一部になりました。
特にアメリカではトレノタイプの物しか輸出されておらず、そのボディからトヨタ製エンジンを降ろし、V8エンジンに換装しパワーアップをして乗る「頭文字D」ファンが大勢いるという事です。
共同開発をしたとはいえ、トヨタの86とスバルのBRZでは当然その味付けも変わります。まずはその二車種の比較・評価をしていきたいと思います。
ベース(廉価)車両比較
RAの価格が205万8,000円。ディスチャージヘッドランプは標準装着され、19万9,500円を加えればエアコンも装着できる。
BRZも基本的には曲がりやすいタイプだが、セッティングは異なり、86に比べると走行安定性を重視する。操舵に対するクルマの動き方も自然だ。
従って、普段使いがメインのユーザーに幅広く推奨できるのはBRZ。
トヨタの86に比べ柔らかめの味付けのなされているスバルBRZの足回り。ベース車両のオプション選択肢を見ても万人向けの車作りがなされていると思います。BRZが高評価を得ている理由でしょう。
ベース(廉価)車両比較
RCが199万円。ディスチャージヘッドランプ、エアコンともにオプションでも装着できない。
※画像は他グレードのものと共通のものを使用しています。
コーナーの入口で軽くアクセルを閉じるだけで、後輪の横滑りを誘発する。
いわゆる“ドリフト走行”を楽しみたいユーザーには最適だ。
もちろん、横滑り防止装置が標準装着され、以前のクルマと違って大事に至る心配は少ないので、不安に思うことはない。
BRZに装着されるのがノーマルサスペンション。86ではドリフトを視野に入れたライト・チューンが施されていると考えれば良いだろう。
硬めのサスペンションに選択肢の少ないオプション。トヨタの86は「与えられる車」ではなく「自分で作り上げて行く車」のように感じます。スポーツカーとしての評価は高いのですが、ファミリーカーとしての評価は今ひとつのようです。
さて、ここからが本題です。兄弟車との比較では本当の評価はできません。同系列車との比較をして初めてきちんとした評価が出せると思います。
この項では2L以下・ノンターボのライトウェイトスポーツとの比較をしてみたいと思います。
日本カーオブザイヤー受賞
1989年、ユーノスロードスターとしてこの世に送り出されたロードスター。
その評価は常に高い。
動画を見ていただければ一目瞭然ですが、サーキット走行をした場合の車両のブレが2車でまったく違います。タイム的には両者互角ですが、やはり86は「走り」を意識した作りになっていると感じました。
1,8L、2L、1,6L、1,5Lと時代と技術に合わせ搭載エンジンの遍歴を重ねてきたロードスター。
新参者のトヨタ86との単純比較はできないかも知れないですが、そのコンセプトの違いによって評価はし易いと感じました。
つまり、「2シータースポーツカー」として世界最高の評価を得ている(販売台数でギネス認定)ロードスターの評価が「売れ筋」であるのに対し、トヨタ86は乗る人の腕で左右される「難しい車」であるという評価。
ただ、難しければ難しいほど乗りこなした時の充実感が味わえるのも事実です。
2010年から6年で幕を下ろすCR-Z
CR-Xの後継機としてすべてのスペックでCR-Xを上回ったCR-Zだったが、今年一杯での生産中止が決定した。
CR-Zの前身CR-X
水冷直列四気筒SOHCエンジン搭載の1.3と1.5iがラインナップしていた。
ともすればトヨタの86と比較されてきたCR-Zでしたが、2016年での生産終了が決定しました。
車自体の評価は非常に高く、エンジンシステムもスポーツカーとしては斬新なものでした。
なのに何故生産を終了してしまうのか?これはトヨタとホンダの販売方式の違いが大きく関わって.いるのではないかと推察されます。
86の評価はオーナーだけでなく、試乗した方達からの評価も高いものでした。しかしホンダはディーラーに試乗車を置かないため、その車の良さ、楽しさをアピールできなかったのではないかと思います。
ライバル達との比較をして参りましたが、どの車にも一長一短がありました。評価は「一長」を見るか「一短」を見るかで別れます。ただ純粋スポーツカーとして生まれたトヨタ86の評価は高かったと思います。この記事で「86乗り」が増えることを期待します。
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