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オートマオイルって交換するものなの?正しい交換時期や費用は?

エンジンオイルは定期的に交換するけどオートマオイルを交換した人ってどれくらいいます?最近ディーラーはオートマオイルは無交換と言い切っているし、走行距離がかさんでくると交換は受け付けてくれません。オートマオイルって交換するものなの、それとも交換したらいけないの?

オートマオイルの交換

あなたはオートマオイルの役割や正しい交換時期をご存知ですか?
オートマオイルとはオートマチック・トランスミッション・フルードのことで、ギアのオートマチックシステムの中に使われているオイルのことです。

オートマオイル

エンジンオイルの交換が必要なことは、車を所有している人であればみなさん知っていると思いますが、オートマオイルに関する知識となると理解していない人が多いようです。

オイルとフルードの違い

蛇足になりますが、オイルとフルードの違いをご存知ですか。日本では一緒くたにオイルといってしまっていますが自動車に使われている油脂類を正式名称で列挙してみますと、
●エンジンオイル 
●オートマチック・トランスミッション・フルード 
●CVTフルード 
●トランスミッションオイル 
●ディファレンシャルギヤオイル 
●ブレーキフルード 
●パワーステアリングフルード
となります。

気が付かれたと思いますが、油脂に求める機能・役割によりオイルとフルードに分かれています。オイルの主な役割は潤滑、フルードは力の伝達です。つまりオイルは潤滑油、フルードは作動油なのです。
従って、この記事でも「オートマフルード」という略称を使うべきなのですが、敢えて一般的な「オートマオイル」で通させていただきます。

オートマオイルの役割

一般的に「オートマオイル」と呼ばれていますが、他にも、「オートマチックオイル」、「ATF」、「ATFオイル」、「ミッションオイル」などと言う方もいます。

手動でギアを変更する「マニュアル・トランスミッション」に対し、自動でギアを変えてくれるのでとても便利な「オートマチック・トランスミッション」。そんな「オートマチック・トランスミッション」でエンジンの動力をタイヤに伝えたり、ギアチェンジを円滑に行えるようにしているのが「オートマオイル」です。

そのほかにも、変速制御や冷却など作動油・潤滑油として多くの役割を担っています。潤滑油としての役割はご存知でも、作動油としての役割は意外と知られていません。

オートマオイルは作動油としての役割が大きいので、エンジンオイルと比べて使用するオイルの量が多く、エンジンオイルが2~4リットルなのに対し、オートマオイルは6~10リットルと倍以上必要になります。

ちなみにエンジンオイルと分かりやすく区別するために、オートマオイルの色は赤や緑に着色されています。

オートマオイル交換

オートマチックトランスミッションのオイルパンを取り外したところ

取り外したオイルパン。オイルが汚れて真っ黒!底には鉄粉が堆積しています。

オートマオイルの交換

交換しないとどうなる?

いろいろな役割をこなしているオートマオイルなので、使用年数や走行距離が多くなってくると徐々に劣化し、不純物も増えていきます。

劣化したオートマオイルを使用していると、オイルの経路が詰まってギアを円滑に変速したり、エンジンの動力をタイヤに伝えるといった性能が低下してしまい、
● 発進・加速の性能低下
● ギアチェンジをしたときのショック(衝撃)が大きくなる
● 燃費が悪くなる
● 最悪の場合ATが故障し走行不能になる
などの不具合につながる可能性があります。

オートマオイル交換

オートマオイルの正しい交換時期

ひと昔前までは、走行距離2万km~3万km毎に交換するのが好ましいとされていました。カー用品店や整備会社などでは今でもそのようにいわれていることが多いです。

ですが最近は、オートマオイルの交換は基本的に不要と説明するメーカーや車種が多くなってきています。

ちなみにトヨタでは、基本交換不要で、悪路走行や走行距離が多いなどのシビアコンデションで使用している場合のみ、10万キロを目安に交換を推奨しています。

オートマオイル交換

ドレーンプラグをはずして古いオートマオイルを抜く。

オートマオイル交換をすると故障する場合も!?

オートマオイルを不用意に交換することで、オートマチックトランスミッションが故障してしまうことがあります。それも、基本的に交換不要となってきている理由のひとつです。

オートマチックトランスミッション内はとても複雑な造りになっていて、本来はホコリやゴミなどが一切入らないような環境で組み立てされています。それだけ安易に触るべきではない、細心の注意を払う必要がある箇所なのです。

ベンツのオートマチックトランスミッションの内部

バルブボディの画像です。細いニードルや油圧制御回路が縦横に通っています。
ここにゴミが詰まったら…

またオートマオイルは、長年の走行で金属部品が摩耗してできた粉などの不純物が、オイルパンの中に多く沈殿してしまいます。その状態でオートマオイル交換をすると、堆積していた摩耗粉が再循環してしまい、バルブや油圧経路を詰まらせてしまうなど、様々なトラブルを引き起こしてしまいます。

特に状態が悪かったり、走行距離が5万km以上で過去に一度も交換していない場合は、正しい方法で交換を行っても故障してしまう場合があるので、整備工場やガソリンスタンドによっては、オートマオイル交換をお願いしても、作業をお断りされることがあります。

オートマオイル交換

オイルパンの底には鉄粉がびっしりと堆積

交換する・しないの判断

結局、オートマオイルは交換はしたほうがいいのか、しないほうがいいのかどちらなのか・・・

個人的な見解ですが「基本的に交換する必要はない」です。

実際、近年の車だったら10万km以上交換していなくても、何の問題もないというケースがほとんどです。オートマオイルに関しても防錆剤、洗浄剤、耐摩耗性添加剤などオイルの劣化を防ぐ成分が含まれ、長期間性能が保てるよう品質が向上してきています。

トータルで考えると、ほんの少し燃費が落ちたり、変速時のショックが大きくなったとしても、オートマオイルの交換費用や、オートマチックトランスミッションが故障して修理費用が30~50万ほどかかってしまうリスクよりは、何もしないほうが安全と言えます。

オートマオイルを交換する方法や費用

例外として、古い車の場合や、日々シビアな環境で乗っている方、20万km以上乗り続けたいと考えている方などは、一定の期間で交換を検討したほうがよいでしょう。その場合は、各自動車メーカーやディーラー、信頼できる整備会社などに交換時期について相談するのが安全です。

交換は信頼できるプロにお任せしましょう!

オートマオイルを交換する場合は、ディーラーか信頼のできる整備工場にお願いしましょう。

ちなみに、自分で交換することも可能ですが、おすすめしません。先ほども説明したように細心の注意を払う作業が必要です。また、オートマオイルは一度に全部のオイルを抜くことができないため、何度も循環させて新しいオートマオイルに交換する必要があるなど、手間も非常にかかります。知識がない方はきっぱりとプロにまかせましょう。

また、カー用品店などでもに交換できますが、これもおすすめしません。オートマオイルは車種によっても専用のオイルがある場合も多いのですが、カー用品店などではすべての車に対応できるとは限りません。それに、整備士が対象のメーカーや車種の知識を深く持ち合わせていなかったり、営業目的で本来不要な交換を勧めてくることも考えられるからです。

オートマオイル交換

ストレーナーを新品に交換。

オイルパンは綺麗に清掃!

オートマオイル交換の費用

交換の費用は、作業料金とオートマオイルの費用を合わせて、8000円~30000円ほどが相場です。

排気量が多くなるほど料金は高くなります。また、性能がよいオイルほど値段は上がりますが、一番はメーカー純正のオートマオイルで交換することです。

オートマオイル交換

新品のオートマオイルを注入して完成!

まとめ

オートマオイルの交換について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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