ミディアムクラスサルーンBMW5シリーズ。525Iの2.5Lは170馬力を発生
2016/02/05
とっぱらや
BMW 600のコンポーネントをふんだんに流用したものの、ボディは『きちんとした』小型車のなりで世に出た後継のBMW 700は、BMWにとって空前の大ベストセラーとなり、BMWの経営を完全に立て直しました。BMW 700とはどんな車だったのでしょうか?
BMW 700はドイツの自動車メーカー BMWが1959年8月から1965年9月まで生産したリアエンジンの小型大衆車です。
全長3,540~3,860×全幅1,480×全高1,270~1,360㎜
ホイールベース 2,120~2,280㎜
車両重量 640~690kg
乗車定員 4/5人
ボディタイプ 2ドアセダン/クーペ/カブリオレ
このモデルのベースとなったのはBMW 600であった。BMW 600は前2席をイセッタ以来の前面開閉ドア、後部座席には別の側面ドアでアクセスするという変形レイアウトを採っていたが、BMW 700はフロアパネルやサスペンションなど一部のコンポーネンツを流用しつつも、BMW 600とは一転、「通常の」自動車の形をしたスチール製モノコックボディに転換した。
BMW 700
BMW 700は、1950年代末、深刻な経営危機にあったBMW社の業績回復に大きく寄与した車として知られています。
1962年3月にはホイールベースが各モデルで16~32cm延長され、「BMW LS」と改名された。
リアオーバーハングに搭載されるエンジンは、同社のR67型モーターサイクルのものをベースとした空冷水平対向2気筒で、697ccで32馬力を発生し、排気量の割には強力であった。車体も軽量であったため、当時のこのクラスとしては高水準な最高速度125km/hをマークした。 さらに40馬力の高性能版も選択できた。
BMW 700のエンジンは、BMW 600用のボア74mm ストローク68mmの582ccエンジン(19.5HP/4,500rpm)を、ボア78mm ストローク73mmの697ccにスケールアップしたものです。基本的に以下2つの仕様があります。
ソレックス・シングルキャブ仕様のエンジンは一連のセダンとクーペのベーシックモデルに使用されました。
1959年から1962年までは30HP/5,000rpmの出力で、1963年よりインレットバルブの拡大で32HP/5,000rpmと若干の出力向上がありました。
L、LL、LS、LSL、Cに搭載
ソレックス・ツインキャブ仕様は、クーペのスポーツモデルとカブリオレに使用され、シングルキャブ仕様に対し、ツインキャブ化、圧縮比向上(7.1:1→9.0:1)、カムシャフト変更などによって、出力を40HP/5,700rpmまで向上させています。
CS、LSC、Cabrioletに搭載
・変速機 4MT
・駆動方式 RR
・サスペンション
前:独立・デュボネ式・コイル
後:独立・トレーリングアーム・コイル
直線基調のモチーフに細いピラー、薄いルーフを組み合わせて構成された、シンプルかつクリーンな美しさを持つこのボディスタイリングは、ジョヴァンニ・ミケロッティの作品で、同時期のトライアンフ・ヘラルドと並んで、彼の小型大衆車デザインの傑作とされる。
2ドアセダンに加え、大型のBMW 501/502と同じくバウア製の2ドアのクーペとカブリオレも用意された。
BMW 700L (Limousine)
1959年のフランクフルトショーでクーペと一緒にに発表されたオリジナル・セダン。
リアオーバーハングに搭載されるエンジンはシングルキャブ30HP仕様。
(1959 – 62 )
700LL (Lusxs Limousine)
700Lの豪華版が700LLです。
700Lとは、ツートン・ボディカラー(オプション)、ボンネットやフェンダー上のクロムメッキのトリムなどの有無で区別します。
(1961 – 62 )
700LS
700Lの後継はホイールベースで160mm、全長で320mm拡大した700LSです。
エンジンは700Lと変わらないシングルキャブ仕様ですが、32HPと若干の出力向上があった方となります
(1963 – 65 )
700LSL (LS Lusxs)
700LSの豪華版が700LSLです。
(1963 – 65 )
700 Coupe
1959年のフランクフルトショーでセダンと一緒に発表されたオリジナル・クーペ。
エンジンは62年モデルまで30HP仕様で、63年モデルより32HP仕様が使用されました。
(1959 – 64)
700Sport(1960 – 62 ) / 700CS (Sport-Coupe)(1963 – 64)
オリジナルモデルから一番最初に派生したバージョン。当初は700Sportと命名されていましたが、1963年に700CSと改称。
ツインキャブ40HP仕様のエンジンを積んでいるほか、放熱リブ付きのオイルパンとリアサスにアンチロールバーを持ちます。最高速度135km/h。
クーペのスポーツモデルのみ、セミオートマのSax-o-matを選択することができました。
LS Coupe
クーペは1964年からロングボディを採用します。同時にエンジンも32HP仕様からツインキャブ40HP仕様に変更されました。
(1964 – 65)
700 Cabriolet
(1961 – 64)
エンジンは700CSと同じツインキャブ40HP仕様です。
BMW 700は、当時の日本車の設計にも影響を与えており、例えば1961年発売の日野・コンテッサ900(1300と違って日野の自社デザイン)のフロント部分のデザインは700のそれと酷似していた。
BMW 700の、当時の本体価格を紹介します。
700L(1959) 4,760マルク
700LL(1961) 4,995マルク
700Coupe(1959) 5,300マルク
700Sport(1960) 5,850マルク
700Cabriolet(1961) 6,950マルク
LSL(1962) 5,320マルク
LS(1963) 4,785マルク
LS Coupe(1964) 5,850マルク
700シリーズは一定以上の売れ行きを示し、BMWが当時開発中であった本格的な上級小型車である1500 "ノイエ・クラッセ"が発売された1961年までの同社の経営を支える役割を果たした。
1965年までの総生産台数は188,211台で、これは歴代BMW車では新記録であった。この最終時点では700より上級のBMW・1500/1600/1800/2000が主力車種に育っており、一方で西ドイツではバブルカー全盛の1950年代に比べ、大衆車市場の下限は1,000ccクラスにほぼ移行していた。このためBMWは700の後継車を出さず、以後は上級小型車以上に専念することとなった。
BMW 700について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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