農道のポルシェと言われたトラック?!スバルサンバーの魅力とは?
2015/11/17
Hiro-X
2016/04/12 更新
サンバーのスーパーチャージャーモデルは5代目と6代目のサンバーに採用されていました。R2などの軽乗用車には採用例がありますが、サンバーにスーパーチャージャーが採用されたのは、スバル以外の軽トラや軽商用バンを含めても唯一の存在です。スバリスト以外もご覧下さい。
サンバーは、1961年に発売された初代から2012年(平成24年)4月1日まで販売されていた6代目モデルまで富士重工業が自社開発、および自社生産を行っていました。7代目以降はダイハツ・ハイゼットのOEMとなり、ダイハツ工業が生産しています。
初代サンバー
シャシーは一般的な低床式のラダーフレームを用いているが、ドライブトレーンやサスペンションレイアウトは既存のスバル360の基本構成を流用し、リアエンジン方式、横置きトーションバースプリングとトレーリングアームを組み合わせた四輪独立懸架で、リアエンジン方式は6代目まで引き続いて採用されるなど、非常にユニークな存在でした。
初代からリアエンジン方式を継続してきたサンバーにスーパーチャージャ装着車が設定されたのは5代目モデル(1990年~1999年)からです。
5代目サンバーの乗用モデル(スーパーチャージャー付き)
エンジンは直列4気筒のEN07型で、スーパーチャージャー車は最高出力55psのEN07Y型、NA車は最高出力40psのEN07C型(キャブレター仕様)を搭載しました。フロントの足回りは、ベンチレーテッド式ディスクブレーキ、マクファーソンストラット式サスペンションに統一されました。なお、ベンチレーテッド式ディスクブレーキの採用は軽商用車では初の出来事でした。
サンバー スーパーチャージャー EN07Y
このようにリアバンパーからエンジンにアクセスします。本格的に点検をするときは、荷室の床板を外す必要があります。
5代目サンバーで初めて採用されたスーパーチャージャー。
そもそもスパーチャージャーとはどういう仕組みなのでしょうか?スーパーチャージャーは、エンジンの出力軸(クランクシャフト)からベルトなどを介して取り出した動力や電動モーターによって圧縮機(コンプレッサー)を駆動し、空気を圧縮してエンジンに供給する補機であり、圧縮機の種類により遠心式、ルーツ式、リショルム式などがあり、自動車では主にルーツ式が採用されています。
サンバーにも採用されたスーパーチャージャー
サンバーにも採用されたスーパーチャージャー
オイルのにじんでる部分にギアが入ってて、プーリーから駆動力が伝わって、中にあるブロワ-2個を回す為の部分です。スーチャ本体の大きさを考えてもチョット大きすぎるんじゃ?って思ったくらいですけど。このギアボックス部分はシールされてて当然中には専用オイルが充填されております。よほどのトラブルがない限り、オイル交換なんて作業はないようです。
スバルでの採用は1988年式レックスで、それまでのターボに代わってスーパーチャージャーが採用されました。吸気管内圧力を利用して開閉し、過給気バイパスバルブにより走行負荷状態に応じて過給をオン・オフする方式とを採用した。電磁クラッチ制御方式よりもアクセル開閉に対するレスポンスがよく、クラッチの騒音も発生しないことなどが特長である。
一番最初にスーパーチャージャーが搭載されたレックス
スーパーチャージャー+CVTという先進性を持ちながら、エンジンは2気筒だった(写真は4気筒モデル)
その後、ヴィヴィオやプレオ、R2などにも展開されたスーパーチャージャーですが、プレオとR2を所有していた友人の話では、乗用車モデルはいずれもハイオク指定でした。
サンバーは商用の為、レギュラー燃料で走行できる仕様に変更されています。
スバル R2 スーパーチャージャーモデル
1990年の軽自動車規格拡大(660cc旧)の際、SOHCでありながら「高回転域でも他社のターボに劣らなくなった」と評価されている。その後、ヴィヴィオ、プレオ、R2でもスーパーチャージャーを採用し、プレオでは日本車として初めて低圧過給(マイルドチャージ)を採用した。軽貨物車ではサンバーにスーパーチャージャーが搭載された。
6代目(1999年-2012年、ディアスワゴン・1999年-2009年)は、1999年2月に発表。1998年度の軽自動車規格変更によって、ボディサイズが拡大した。他メーカーのバン・トラックが軒並みセミキャブ化されたが、サンバーは、トラック・バンともにフルキャブの車体形状を維持し、トラック、バン、ディアス(4ナンバー)のラインナップで登場する。スーパーチャージャー車の出力が58psに向上。NAはキャブレター仕様が廃止されました。
サンバー・ディアス・バン スーパーチャージャーモデル(中期)
サンバー・バンのスーパーチャージャーモデルは2002年9月のマイナーチェンジで一度は姿を消しますが、2009年9月のバンモデルのみのマイナーチェンジにあわせて、バンの「ディアス」と「トランスポーター」にスーパーチャージャー仕様が復活し、2012年のダイハツからのOEM供給によるモデルチェンジによりスーパーチャージャーもその役割を終えました。
サンバー・バン スーパーチャージャー 最終モデル
サンバーはその特異性から中古車市場でも100万円~150万円の高値を付けるものもあります。
赤帽サンバーとは、赤帽が開業当時、軽自動車がまだ非力な車で耐久性もあまり高くなかったため、赤帽の組合員から「普通のエンジンでは赤帽の業務に耐えられない」という意見が出され、耐久性能や出力を上げた赤帽専用車両の製作を自動車メーカーに依頼したところ、唯一前向きな姿勢を見せたのが富士重工でした。
赤帽専用サンバー スーパーチャージャー
赤帽車で使用されているエンジンは、各部に設計変更と強化部品の組み込みが施されており、耐久性が大幅に向上している。小排気量による貨物輸送という、高負荷かつ長距離を走る過酷な使用状況でありながら、一般的なシビアコンディション整備のみで20万kmまで特段のオーバーホール不要で使用できるよう設計されています。
赤帽サンバー専用スーパーチャージャーエンジン
エンジンのヘッドカバーが赤く塗られているのが、赤帽専用エンジンです。
赤帽エンジンは、通常のサンバーのエンジンとカタログスペックは同じですが耐久性を重視した専用設計のエンジンで、20万キロエンジンオーバーホールしないでも使える設計になっています。
確かに赤帽の組合員さんで50万キロ突破とか60万キロ突破(ワンエンジン)というニュースを見ますので・・・しっかりとしたオイル管理とメンテナンス、丁寧な扱い方をすればそこまで行くのも可能でしょう。
赤帽サンバー専用スーパーチャージャーエンジン
赤帽専用サンバートラック スーパーチャージャー
軽トラックもリアにエンジンを積んでいます。
赤帽のロゴの下に、スーパーチャージャーの誇らしげなステッカーが貼られています
サンバーには時々、特別仕様車が投入されていましたがその中でも異彩を放っていたのが、2011年7月27日に投入された発売50周年記念特別仕様車「WR BLUE LIMITED」です。
サンバーのバン・トラック両モデルに採用されたWR BLUE LIMITED
2011年7月27日、発売50周年記念特別仕様車「WR BLUE LIMITED」を発売。トラック「TC」とバン「ディアス」をベースに、専用ボディカラー「WRブルー・マイカ」と2トーンフロントカラードバンパー(バンはエアダム一体型)、イエローステッチ付の専用ブラックシートを採用。
さらに、トラックにはクロームメッキのホイールナットとクリアタイプのターンレンズを、バンにはハイマウントストップランプ付ルーフスポイラーとマフラーカッターを装備した。2タイプ合計1,000台の限定販売である。
サンバー・トラック「WR BLUE LIMITED」
このようにステッカーチューンされるサンバーもたくさんありました。
気分はコリン・マクレー?
読者の皆様、これまでの説明でスバルのサンバーの歴史やスーパーチャージャーの仕組みはご理解いただけましたでしょうか?
今となっては軽乗用車も含めダイハツからのOEM供給に切り替わり、独自性は薄れてしまいましたが、スバルは独特の技術や開発理念を持つ企業です。
今後もこのような特異性のあるクルマづくりをしてほしいものです。
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