記事ID13719のサムネイル画像

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の慰謝料について説明します。

交通事故の慰謝料の基準は自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士会基準と三つもあり保険会社や法律の専門家でない限り提示された慰謝料額が妥当か分かず、保険会社に言い負かされ、妥当な金額が得られず泣き寝入りとなります。今回は自賠責保険の慰謝料について説明します。

自賠責保険の概要

自賠責保険とは

自賠責保険は、自動車・バイク(二輪自動車、原動機付自転車)を運行する場合に、法律(自動車損害賠償保障法)によって加入が義務づけられている保険(強制保険)です

自賠責保険料

自賠責保険に未加入で自動車・バイクを走行した場合の罰則は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金と免許停止処分(違反点数6点)となります。

自賠責保険は対人補償のみ

自賠責保険は、自動車・バイクを運行中に他人にケガをさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償します。

自賠責保険の慰謝料

また、自賠責保険は『他人』を負傷させたことによる補償をするものです。自分が怪我をした場合は、自身の加入する自賠責保険で補償を受けることはできません。

自賠責保険の慰謝料

自損事故では自賠責保険の慰謝料は支払われません。

傷害の場合、保険金の限度額は120万円

自賠責保険の保険金は、国土交通大臣および内閣総理大臣が定める支払い基準に従って決定され、怪我による損害は、支払い限度額120万円の範囲内で治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料が支払われます。

伊庭遺跡保険の慰謝料

また、後遺障害による損害は等級に応じた基準に従って、75万円〜4000万円を支払い限度として、逸失利益や慰謝料などが支払われます。

万が一被害者が死亡してしまった場合の損害は、支払限度額3000万円の範囲内で葬儀費、逸失利益、被害者本人および遺族の慰謝料が支払われます。

自賠責保険の入通院慰謝料

自賠責保険で支払われる入通院の慰謝料は、1日当たり 4,200円と決められています。
具体的には以下の二つの日数を比較し、少ない方の日数を計算に使います。

1:治療期間(事故から完治日まで、あるいは症状固定の日まで)の全日数
2:実通院日数(入院日数+実際に通院した日数)に2を掛ける

自賠責保険の入院慰謝料

入通院謝料 = (『治療期間』と『実通院日数 × 2』の内、少ない方の日数) × 4,200円

自賠責保険の後遺障害慰謝料

後遺障害の慰謝料は、等級によって支払われる金額が決まっています。等級は全部で第1級から第14級まであり、後遺症の重さによって第1級(1,100万円)~第14級(32万円)と決定していきます。

自賠責保険の後遺障害慰謝料

この後遺障害等級の認定を得ることが、後遺症の慰謝料のすべてです。後遺障害等級の取り方や、どういった症状が後遺障害の認定となるかなどを、詳しく知っておく必要があります。

自賠責保険の死亡慰謝料

亡くなった被害者固有の慰謝料

亡くなった被害者固有の慰謝料というのは、亡くなった被害者の精神的苦痛を金銭的に償うものです。この慰謝料の請求権は、本来亡くなった被害者本人に発生するものですが、被害者本人は亡くなってしまっているので、相続人が相続することになります。

自賠責保険の死亡慰謝料

自賠責保険では、死亡本人の慰謝料は350万円となります。これは、被害者が一家の支柱であった場合、母親、配偶者であった場合、その他の場合も全て同様です。

被害者の近親者の慰謝料

交通事故で被害者が死亡してしまった場合、その被害者の親族も精神的苦痛を負うことになります。そこで、死亡した被害者の近親者にも慰謝料が支払われます。

自賠責保険の近親者の慰謝料

自賠責保険では、慰謝料の請求ができる親族は、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む。)に限られます。請求権者が1人の場合は 550万円、2人の場合は 650万円、3人以上の場合は 750万円となっています。
亡くなった被害者に扶養されていたものがいるときは、上記金額に200万円が加算されます。

自賠責保険、保険金が支払われないケース

被害者に100%の過失があった場合、加害者から保険金は支払われません。

自賠責保険の保険金が支払われないケース

注意!自賠責保険の保険金が支払われないケースもあります。

自賠責保険は、被害者を救済するための制度ですが、被害者に100%の過失があり、加害者がどうしても避けられないような事故の場合、保険金が支払われません。

自賠責保険の保険金

駐車場に駐車中の車にぶつかってケガをしても、自賠責保険の保険金が支払われないケースもあります。

この場合、加害者が自賠法第3条(自動車損害賠償保障法)に記されている3つの項目すべてを立証すれば、「無責」となり、被害者の損害は加害者に責任がない「自損事故扱い」となります。

条件-その1「運行供用者および運転者が自動車の運行に関し、注意を怠らなかった」

ドライバーが交通ルールを守り、注意を怠らなかったことが証明できれば、賠償義務はありません。例えば、信号待ちで完全停車していたA車がB車に追突され、B車のドライバーが死傷した場合、「被害者(B車)に100%の過失」があると見なされますので、A車は無責となり、損害賠償はしなくてもよいということになります。

条件-その2「被害者に故意、または運転者以外の第三者に故意または100%の過失があった」

例えば、保険金目当てで起こした事故などがこれにあたります。また、第三者の行為により過失がないにもかかわらず加害者になってしまったときも無責になります。

また、先ほどの話でいうと、信号待ちで完全停車中だったA車にB車が追突、その衝撃でA車が前にいたC車に追突し、C車の搭乗者がケガをしてしまった場合、B車(第三者)の過失が100%と認められますので、A車は、この場合無責となります。

条件-その3「自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかった」

「機能の障害」といっても、複雑なことは何もなく、基本的には車検や定期点検、始業点検などを行っていれば、この項目は証明できるでしょう。

7割以上の過失で保険金は減額されます

自賠責保険の保険金は、実務上の扱いとしては、被害者に7割以上の重大な過失があった場合に限り、減額されて支払われます。

自賠責保険の保険金

被害者側に重大な過失がある場合は自賠責保険の慰謝料は減額されます。

傷害事故の場合、被害者の過失割合が 7割以上10割未満なら自賠責保険の保険金は2割減額されます。

自賠責保険の保険金は、後遺障害または死亡事故の場合、被害者の過失割合が7割以上8割未満なら2割減額、8割以上9割未満なら3割減額、9割以上10割未満なら5割減額されます。

まとめ

自賠責保険の慰謝料について、お伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。交通事故の慰謝料は精神的な苦痛を数字に表すものですので、正確な金額は、交通事故の被害者の怪我や状況の程度によって変化してきます。

交通事故に遭わないよう日頃から気をつけることは勿論ですが、万が一そうなってしまった場合、この記事がお役に立てば幸いです。

関連する記事

この記事に関する記事

この記事に関するキーワード

キーワードから記事を探す

TOPへ