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【世界が驚いた!】ホンダのCVCCエンジンとは?解説します!

1972年に世界に先駆けてアメリカの排気ガス規制法の基準値をクリアし、世界を驚かせたエンジンがあることをご存知でしょうか?ホンダが開発したそのエンジンは、CVCCエンジンと呼ばれるものでした。今回は、そんなホンダのエンジンについて解説します!

ホンダについて

本田宗一郎(1906〜1991)

本田宗一郎氏は、本田技研工業(ホンダ)の創業者です。

ホンダ(本田技研工業)は、本田宗一郎氏によって1948年に創業された輸送機器メーカーです。ホンダは創業以来、オートバイメーカーとして「スーパーカブ」などのヒット作を生み出し、レースでも1961年のマン島TTレースで完全優勝するなどの成功を収めています。また1963年には自動車の生産を始め、F1に参戦するなどもしています。最近では、HondaJetと呼ばれる小型ジェット機を発売するなど高い技術力を誇っています。

ホンダは知らない人がいないくらい有名な企業ですね。
次はホンダがCVCCエンジンを開発することになった事情について見ていきます。

CVCCエンジン開発の背景

ホンダの自動車会社としての存続危機

N360

1967年からホンダが製造・販売していた軽自動車です。

ホンダは1963年に4輪自動車の製造を開始しSシリーズなどの名車を生み出しましたが、70年代に入ってから売り出したN360の欠陥によって社長の本田宗一郎氏が殺人罪で告訴され、不起訴にはなったもののホンダのイメージダウンは免れませんでした。

大気汚染の問題化

エドマンド・マスキー

アメリカの上院議員で、大気浄化法の改正案を提案しました。

また、同時期に自動車の排気ガスによる大気汚染が問題になり始め、70年にはアメリカでマスキー法と呼ばれる大気浄化法改正案が制定されました。このマスキー法は、1976年以降に製造される車は、NOx(窒素酸化物)やHC(炭化水素)、CO(一酸化窒素)などの大気汚染物質の排出量を、1970年に製造された型の1/10に抑えなければならないという厳しいものでした。この厳しい基準には、アメリカのビッグ3と呼ばれる車会社でさえも手を焼いていました。

本田宗一郎氏はこのマスキー法こそ、ホンダを世界の大手自動車会社と肩をならべ、会社を立て直す絶好の機会と考え、マスキー法をクリアできるエンジンの開発がホンダにおいて始まりました。

ピンチをチャンスにという考え方は流石としか言いようがありませんね。

CVCCエンジンの仕組み

ホンダの開発したCVCCエンジンとその仕組みを見ていきましょう。

CVCCエンジン

ホンダの開発した、複合渦流調速燃焼低公害エンジン(Compound Vortex Controlled
Combustion engine)です。
その英名の頭文字をとってCVCCエンジンと呼ばれています。

そもそもHCやCOと言った大気汚染物質は、エンジンの燃焼室での不完全燃焼によって産出されるものであるので、これらを排気ガスから減らすには不完全燃焼を起こさないように燃料に対して十分な空気を与えてあげる必要があります。つまり混合比を下げれば良いのですが、そうしてしまうと着火しにくいという欠点がありました。

CVCCエンジンの動作行程

エンジンの左上の空間が副燃焼室です。

CVCCエンジンは、4ストロークガソリンエンジンの一種で、ピストンがシリンダ内を2往復する間に、吸気・圧縮・燃焼・排気の燃焼サイクルを終えます。

このどちらかを取ればどちらかが犠牲になるというジレンマを打ち破ったのがホンダのCVCCエンジンでした。
ホンダの開発したこのエンジンの特徴は、主燃焼室の他に副(予備)燃焼室を持っていることです。

CVCCの解説と久米是志氏が語るCVCC開発秘話

CVCCエンジンの開発に携わった、ホンダの3代目社長である久米是志氏のインタビューです。

ホンダのCVCCエンジンは、まず副燃焼室において点火プラグで確実に燃焼させ、その燃焼炎によって主燃焼室の薄い混合気を燃焼するという仕組みでした。このエンジンは副燃焼室を設けることで、主燃焼室の混合比を下げてもしっかりと燃焼できるため、不完全燃焼を起こしにくく、大気汚染物質の排出量も格段に減らすことができました。

CVCCエンジンとホンダの評価

CVCCエンジン

ホンダはこのエンジンを1972年に発表し、シビックをはじめとしてアコード、プレリュードなどのホンダ車に次々と搭載していきました。

ホンダはこのCVCCエンジンによって、世界で初めてマスキー法の基準をクリアし、世界の自動車メーカーへとなりました。
そしてCVCCエンジンの技術は、トヨタやフォードなどの他の自動車会社へ供与されました。

シビック・CVCC第1号車

CVCCエンジンが初めて搭載されたホンダ・シビックです。

また、CVCCエンジンを搭載した「CIVIC CVCC」は、米国自動車技術者協会の選ぶ20世紀優秀技術車の中で、1970年代の優秀技術車に選ばれました。

おわりに

ホンダの技術者たち

ここまでホンダとCVCCエンジンについて見てきましたがいかがだったでしょうか?
ホンダを世界の自動車メーカーへと押し上げたCVCCエンジンですが、その開発にあたったホンダの技術者たちは、会社の利益ではなく少しでも空気が綺麗になるように開発した、と語ったそうです。
技術者たちの心意気には頭が下がりますね。

ここまでご覧頂いてありがとうございました!

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