ライトウェイトスポーツカーの雄、TVR。そのTVRが造った350i とは?
2015/12/10
とっぱらや
TVRの”タスカン”という車をご存知でしょうか?他に類を見ないルックスがとても愛らしい。TVRから世に放たれる車の全てが独創的で浪漫に溢れているが、その中でも異彩を放つ”タスカン”はとにかく魅力がいっぱい詰まっている。TVRタスカンの魅力について紹介します。
TVR(ティーブイアール:TVR Motors Company)イギリス・ブラックプール(イングランド北西部、アイリッシュ海に面するイギリス最大の保養地として有名)にて1947年に創業した自動車メーカー。小型なスポーツカーの製造が特徴で電子制御や安全装備を持たず、高性能である割に他社のスポーツカーと比べると比較的に安く購入できる。
(エアバッグ、ABS、TCSなどの安全装備や電子デバイスは搭載されていない。)
TVRエンブレム
エンプレムは社名のロゴ。創業者の”トレバー・ウィルキンソン”氏の「Trevor」から、子音の3文字が使われている。
モデルのタイプとなった”TVR・グリフィス400”の後継車として1967年に初公開され、1968年に販売開始された。車体骨格は鋼菅フレーム・FRPボディを採用。初期のエンジンはフォード製のV8エンジンが搭載されていた。
1969年にフォード製3.0LのV6エンジンが搭載されV6シリーズが新たに加わり、1970年にV8モデルが生産終了となり、1971年にはV6モデルが生産終了となった。
経営悪化などの問題で経営者が変わり、1999年に2代目のTVRタスカンが発売された。
TVRタスカン1969年
V6シリーズのTVRタスカン
小型なスポーツカーとして、当時からレースにも参戦
ロングノーズのフォルムを継承し、フロントライト部はヘッドライトとウィンカーが縦に配列された。2代目から独特のルックスに磨きがかかり、更なるインパクトと共にデビュー。
内装にもアルミパーツや真鍮が採用されるなど、コンセプトカーのような造りとなった。曲線を多用したFRP製ボディがやたらと印象に残り、ボディサイズはコンパクトに収めなおかつ車重も軽量化されている。
TVRタスカン
全長:4,235㎜
全幅:1,810㎜
全高:1,200㎜
車重:1,100㎏
日本のトヨタ・クラウンの全長が4,895㎜、近いサイズでもホンダ・シビックタイプRの全長4,390㎜。TVRタスカンはコンパクトである。
TVRタスカン
2000年までは4,000ccの360馬力/7,000rpm、42.9kgm/5,250rpm、その他にハイエンドモデルで「レッドローズ(380馬力)」がラインナップ。
2000年からは3,600ccの350馬力/7,500rpmに変更。
TVRタスカンS
フロントリップスポイラーとリアスポイラーを装備した”TVRタスカンS”も加わりワンランク上の4,000ccの390馬力を発揮、2003年からは4000ccの400馬力になる。
TVRタスカン:ボディーカラー
特徴がありすぎるTVRタスカン
”ボディーカラー”が豊富!
ソリッド、メタリック、パール、カメレオン(デュポン製特殊塗料2色変化)、カスケード(デュポン製特殊塗料4色変化)など様々な種類があり、オーダーすればオプションで自由に塗装可能だった。
TVRタスカン リヤ
リヤビィーも独創的。この曲線の美しさを持つ車は数少ない。
TVRタスカンフロント
乗員:2名
ミッション:5速マニュアルのみ
TVRタスカンエンジンルーム
ボンネトを開けて見えるエンジンルーム。エンジン本体は車体の中央寄りに配置。
愛らしい風貌からは想像できないパワーがここから生み出される。
TVRタスカンコックピット
車内は決して広くない。運転に必要なスペースしか存在しない空間を、独創的なインテリアが詰まっている。最低限の装備はTVRタスカンに必要なものしか付いていない。
TVRタスカンのドアボタン
TVRタスカンのドアは電気仕掛けで出来ており、外から開ける時はミラーしたのボタンを押すと開けられる。車内からもドア用のボタんがありそれを押さないとドアは開かない。
TVRタスカンメーター
メーターパネルもいたってシンプル。ここにもTVRの独創性が光る。
エンジンの掛け方にも特殊な方法が用いられている。
TVRタスカンメーター2
中央のパネルには回転数などを表示をするディスプレイがあり、その周りをスピードメーターが覆う。サイドのオイル計とガソリン表示など、シンプルでありながら幻想的な空間を演出している。
コンパクトだが車内に座ると実にフィットする。各ペダルも足付きがよく、日本人でも違和感がない。最高速度280㎞を越えるスポーツカーだが、走り出しもスムーズでいて乗りやすさを感じるそう。様々な試乗レビューでも紹介されるのが”乗りやすい”という点だが、アクセルを踏み込めば羊から狼へとの変貌が始まる。
TVRタスカンレース参戦
軽量化されたボディーに積まれたハイスペックなエンジンは0ー100㎞/hは4.2秒と他社のスポーツカーにも引けをとらない。
TVRタスカンレース参戦
”乗り手を選ぶ”というか乗り方を選べるというのがTVRタスカンである。アクセルベタ踏みでなくても中低域で十分楽しめてしまう。乗りこなしたければ運転技術を磨きサーキットでアクセル開放など、街乗り・ワインディング・サーキットと楽しみ方の幅がある。
発売当時のTVRタスカン2代目の価格は日本円で750万〜1000万円。
現在の中古車市場では2001年〜2003年代の車両で400万〜460万円。
国産車と違い中古車で販売している台数が非常に少ないレアカーでもある。
TVRタスカン
決して安くはないが、ポテンシャルの高さを考えたら安く感じてしまうのではないだろうか。
イギリスから発せられたTVRタスカンという車。見た目の愛らしいボディーや内装など、今までの車という概念を覆すほどの思いが詰まっている。エンジンにおいては”走る”こだわりをふんだんに出し、見た目からは想像もできないパワーを発揮する様は、まさにスポーツカー。現代車には不可欠なエアバックなどの安全装備は一切ない。純粋すぎる孤独な狼。ファリミーカーの次に所有できるとしたらこの一台に決めたい。
TVRタスカン2006
現状の最終モデルとなるTVRタスカン2006年モデル。
経営再開に向けて現在活動中のTVRは2017年に新型車の発表を予定しているが、タスカンのモデルチェンジ等は不明である。
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