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救急車のサイレンに隠された様々な工夫をあなたは知っていますか?

日常生活の中でもよく耳にするのが救急車のサイレン音。ちょっと苦手なドライバーも多いかもしれません。実はあの「ピーポー音」にはいろいろな努力や工夫がなされていました。今回はそんな救急車のサイレン音についてまとめてみました。

救急車は毎日大忙し。

あまりお世話になりたくない救急車。あの救急車のサイレンを聞いただけでもドキドキしてしまう方もおられますよね。

救急車のサイレン

1日にいったいどれぐらいの救急車が出動しているのでしょうか?

平成26年中の救急自動車による救急出動件数は598万2,849件(対前年比7万1,568件増、1.2%増)、搬送人員は539万9,618人(対前年比5万7,630人増、1.1%増)で救急出動件数、搬送人員ともに過去最多を記録しました。

出典:http://www.fdma.go.jp

ー総務省「平成 26 年の救急出動件数等(速報)」の公表 より

救急車のサイレン

単純計算で、毎日16,400件近くの救急車が出動している計算になりますね。
救急隊員のみなさま、本当にお疲れ様です。

救急車のサイレンをよく耳にするわけです。

救急車の「ピーポー音」、いつからあの音なの?

昭和45年(日本万国博覧会があった年)以前は救急車も消防車と同じ「ウ~・ウ~」という音のサイレンを鳴らしていたそうです。

昭和40年代はじめに、当社現会長・上岡淑男がフランスで耳にした救急車のエアホーンによる警報音をヒントに新しい救急車用サイレンの開発を開始しました。研究を重ね、試作機を神戸市消防局の協力を得て、市民の声を聞くため、東灘消防署と尼崎間で約5年間の走行テストを行いました。後に東京消防庁での研究・規格化を経、また、運輸省(現国土交通省)においても保安基準で救急車用サイレンと認められ、「ピーポーサイレン」は全国採用となりました。

出典:http://www.siren.co.jp

ー株式会社大阪サイレン製作所のサイトより

救急車のサイレン

全国の救急車のサイレンが、株式会社大阪サイレン製作所が開発した「ピーポーサイレン」に切り替わったのが1972年ごろ。

ピーポー音の歴史は以外に浅く、45年ほどだということがわかりました。

救急車のサイレンにも種類があるのを知っていますか?

そういえば・・・と心あたりの方もあるかと思いますが、救急車のサイレンにはいく通りかバージョンがあります。

まずは、通常の「ピーポーピーポー」音。

そして、もう一つは「ウー、ウー」というモーターサイレン音です。交差点に進入するときや追い越しをかける際に合わせて鳴らします。

すごいサイレン鳴動し、赤信号を通過する救急車。

この2つの音のコンビネーションは結構耳にしますよね。

さらにこのほかにも「住宅モード」と「ハーモニックサイレン」という種類があります。

救急車 サイレン音住宅地用

こちらが「住宅モード」のサイレン。
住宅近隣への音の配慮として、通常のサイレンより数オクターブ程度音を下げています。

救急車 ハーモニックサイレン音

こちらは「ハーモニックサイレン」。
音を重ねることによって、とがったサイレン音が柔らかくなっています。
近隣や入院患者に配慮したサイレン音だそうです。

この2つのモードの違い、ご存知でしたか?

ドップラー効果でも有名な救急車のサイレン。

さらにサイレンの種類ではありませんが、救急車といえばドップラー効果でも有名ですよね。

奏でてみようよ305 ドップラー効果 救急車のピーポー Doppler Effect

見事にドップラー効果が再現されていますね。

救急車がサイレンを鳴らして近づいてくるとき、音がだんだん大きくなるとともに音が高い音に聞こえ、救急車が通り過ぎたとたんに音が低い音に聞こえます。このように観測者と音源が互いに近づいたり遠ざかったりするときに音の高さが変わることをドップラー効果*といいます。

出典:http://wakariyasui.sakura.ne.jp

ーわかりやすい高校物理の部屋「ドップラー効果1」より

ドップラー効果

絶対音階を持っている人だと,音の変化で、その動いている物体の速度がわかるらしいです。

ドップラー効果を学校で習ったときは、救急車が通る旅に、友達と「ドップラー効果だ!」と盛り上がりませんでしたか?

どこから来てるの救急車?サイレンの新たな試み。

救急車のサイレン

「救急車のサイレンは聞こえるけど、前から来ているのか、後ろから来ているのかわからない」
これって、「救急車あるある」ですよね。

救急車の確認ができなくて焦ってしまったり、かえって邪魔な動きをしてしまったり・・・
救急車にとっても現場到着が遅れたり、最悪、一般車との衝突といった事故を招くおそれがあります。

救急車とタクシーの事故

こういった事態はぜひとも避けたいものです。

この問題は日本だけではなく諸外国でも注目されており、サイレンや警報音の在所確認について、神経物理学や音響心理学など、様々な面から研究されていますが、このたび、イギリスの大学と開発会社でまさにこの技術が確立され、「在所確認警報音」が完成しました。これは、人間の耳や脳、神経が処理する音源位置認識の能力と、警報音の周波数成分を綿密に研究されたもので、その効果も各種シュミレーションテストや路上トライアルで評価されています。

出典:http://www.siren.co.jp

ー株式会社大阪サイレン製作所のサイトより

日本においても、この「在所確認警報音」の電子サイレンへの取り込みが研究されているようです。まだ実用化にまでは至っていないようですが、実現すれば、一般車のドライバーも、救急車のドライバーも安心して走行できますね。

がんばれ!ピポピポ救急車!

いかがでしたか?

今回は、私たちがよく耳にする救急車のサイレンについてお伝えしました。
以外にもいろいろな試みがなされているのが印象的でした。

最後に、救急車の「応援ソング」をどうぞ。途中であのピーポー音も聞こえてきますよ。

ピポピポ救急車

ーうたの科学館シリーズ のりものの歌 もっとしりたいいろんなくるま
5.ピポピポ救急車

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