聞いたことのあるキャブレターのオーバーホール。その費用とは?
2016/07/10
Mive
エンジンを動かすためには燃料を噴射する必要がありますが、その役割を担っている装置にキャブレターとインジェクションがあります。これらはどのような構造で燃料を噴射し、どのような違いがあるのでしょうか?キャブレターとインジェクションの構造について解説します!
キャブレターとは、エンジン内部にあってガソリンなどの燃料を電気などを使わずに空気と混合するための装置のことを指します。
混合気を作るための装置として構造が簡単なキャブレターは昔から使われていましたが、排気ガス規制などに適応するために現在販売されている自動車やオートバイなどではキャブレターはあまり採用されなくなり、代わりにインジェクションが採用されるようになっています。
では、キャブレターの構造について見ていきましょう。
キャブレターの構造は、幾つかの異なる系統から構成されています。具体的には、エンジン中〜高回転時などに燃料を噴射するメイン系統、アイドリング時に燃料を送るアイドリング系統、エンジン始動時に濃い混合気を作るスターター系統などがあり、その他にもエンジン高回転域での空気に対する燃料の比を高くするパワージェットやアクセルペダルの踏まれる量によって燃料を増やす加速ポンプなどからキャブレターは構成されています。
ではキャブレターはどのようにして燃料を吸気管へと供給しているのでしょうか?
キャブレターの燃料噴射部の構造について見てみましょう。
キャブレターの燃料噴射の仕組みは「ベルヌーイの定理」によります。
このベルヌーイの定理は次の式で示されます。
この式がどういうことを表すかを簡単にいうと、「V(流体速度)が大きくなるほどP(圧力)は小さくなっていく」ということです。
ここでキャブレターの燃料噴射部の構造を見てみましょう。
キャブレターのある、燃料噴射部だけ少し細い構造をしていることがわかると思います。
ここで燃料噴射部の断面積をA1、それ以外の部分の断面積をA2とします。
またそれぞれの部分での空気の流速をV1、V2とします。
すると流量Qは断面積×流速で求まり、また流量Qは吸気管のどこでも一定であることから
Q=A1×V1=A2×V2となることがわかると思います。
今、A1<A2であることと上の式からV1>V2となります。つまり、管の一部が細い構造にすればその部分の流速は速くなるということなのです。
CV(負圧ダイヤフラム方式)キャブレターの構造
スロットルバルブをアクセルペダルの開度によって操作し、その負圧によってピストンバルブを動くようにすることで燃料の噴射量を調節する構造のキャブレターです。
すると先ほどのベルヌーイの定理より、管の細い部分つまり燃料噴射部の圧力は低い状態となります。今、燃料タンクは外と同じ大気圧ですから、気化したガソリンなどの燃料はキャブレターを通って圧力の低い吸気管内へと噴射されるという構造になっているのです。
VM(ピストンバルブ式)キャブレターの構造
細い部分の径をアクセルペダルの開度によって直接的に操作し、燃料の噴射量を調節する構造のキャブレターです。
キャブレターの燃料噴射の構造が理解できたでしょうか?
電気などのエネルギーを使わずに燃料を送り出すことのできる構造をしているのがキャブレターでした。
次は、キャブレターに取って代わったインジェクションとその構造について見ていきましょう。
インジェクションはキャブレターと同じように、燃料を噴射して混合気を作り出す装置です。インジェクションはキャブレターと異なり、動作環境による影響が少なく、レイアウトの自由度が高いなどの利点があります。また現在、自動車やオートバイに採用されているインジェクションは電子制御のため、センサーで読み取った様々な数値に応じて最適な燃料量を噴射することで環境性能も向上させることができます。
キャブレターに劣る点としては、動作に電気を必要とする点や構造が複雑なため取り扱いや整備が難しいという点などがあります。
しかしそれらのキャブレターと比較して劣る点を鑑みても、その他の利点が大きいため現在ではキャブレターに変わって広く採用されています。
では、インジェクションはどのように燃料を噴射するのでしょうか?
インジェクションの構造について見ていきましょう。
一般的なインジェクションの構造は、次の図のようになっています。
インジェクションの燃料噴射は、噴霧器(インジェクター)と呼ばれる装置によってなされています。燃料は、インジェクションの噴霧器によって強制的にエンジン内に噴射されるという構造になっています。
この時、センサーとコンピューターによって吸気速度や空気量を検知・計算して最適な量の燃料を噴射するため余計な燃料消費を抑えることができ、燃費向上や排気ガスに含まれる大気汚染物質の減少などに役立っています。
キャブレターでは気圧の差を利用して燃料を吸気管に取り込む構造をしていましたが、インジェクションでは電気によって噴霧器を動かし、強制的に燃料を噴射するという構造をしているのですね!
ここまでキャブレターとインジェクションの構造について見てきました。いかがでしたか?
キャブレターは動作に電気を使わないなどの利点がありましたが、環境保全のための排気ガス規制などに適応できず、車などの輸送機器ではインジェクションに取って代わられてしまいました。
しかし構造が簡単でコストも安いキャブレターは、今でもチェーンソーなどの可搬型作業機器のエンジンに使われています。適材適所といったところでしょうか。
読んでいただいてありがとうございました!
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