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馬力を縛られた軽自動車の走りの個性は?実用性だけでは無いんです!

維持費の安さからユーザーの増えてきた軽自動車。しかし、自主規制64馬力の馬力規制や、660ccの排気量規制。一見縛られた動力性能のせいで「軽自動車なんて走りはみんな同じでしょ?」と思われがちですが、そうでもないんです。軽自動車の走りの違いを考察していきます。

軽自動車の馬力自主規制

昔の550ccの軽自動車の時代から64馬力以上のポテンシャルはあったんです!

初代アルトワークス CC72V型 初の64馬力車!!

軽自動車の馬力競争の末に、馬力自主規制の発端となった車です。その過激なフィールに衝撃を受けた方も少なくありません。

当時、スズキが78馬力で発売する予定だったのが、陸運局の許可が得られませんでした。結果、エンジン出力を64馬力に引き下げて発売されました。

64馬力と言いながら、実馬力を計測すると80馬力出ていたという話もあります。

馬力が規制された今の軽自動車は個性が無いのか?

では、64馬力以上出せない今の軽自動車は走りの個性は出ないのか?というと、そんなことはありません。馬力を追求できない代わりに培ったフィーリングがあります。

エンジンにはそれ自体に個性があります!

基本的にエンジンは最高回転=最高出力(馬力)を追求すると、低回転、中回転でのトルク(力強さ)を失ってしまいます。これは運転では扱いづらさにつながります。

今は軽自動車に限らず、普段からよく使う低、中回転のトルクを出していこうとする傾向があります。馬力ばかりを追求せず、トルク型のエンジン特性にしてきた事で、燃費を良くしてドライブフィーリングを良くしてきました。

最新の軽自動車、それもターボが付いていない軽自動車でも各車種で馬力やトルクが違います。その事からそれぞれの個性や開発者の思いも感じられるのでは無いでしょうか?

最近の軽自動車の馬力やトルクからその個性を推察!

それでは、最近の軽自動車をご紹介しながらその走りの個性を探っていこうと思います。

味付けの違うエンジンの車種をピックアップして比較しながらご紹介します。

ダイハツの個性の異なる軽自動車!!

新型キャストのノンターボモデル!!

エンジン型式:KF 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
最高出力:52ps(38kW)/6800rpm
最大トルク:6.1kg・m(60N・m)/5200rpm
内径×行程:63.0mm×70.4mm
圧縮比:11.3
JC08モード燃費:30.0km/L

非常に燃費のいいミライース!!

エンジン型式:KF 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
最高出力:49ps(36kW)/6800rpm
最大トルク:5.8kg・m(57N・m)/5200rpm
内径×行程:63.0mm×70.4mm
圧縮比:12.2
JC08モード燃費:35.2km/リットル

52馬力と49馬力!水冷直列3気筒 KF型エンジン!

この2台。エンジンの型式、シリンダーの内径、行程は同じなのに、最大出力は52馬力と49馬力。圧縮日は11.3と12.2と違いがあります。

実はこの2台。車重が違います。ミライースは730kgに対してキャストは840kgと重いのです。その重さを感じさせないように、キャストの方が多めに燃料を出して馬力、トルクを稼いでいます。

対してミライースは燃費が良くなるように、少ない燃料で落ちる馬力を高い圧縮と軽い車体でカバーしていると考えられます。その分キャストは走りや装備が上質になる。というコンセプトの違いです。

まるで普通車のコンパクトカーと高級セダンの違いですね!

エンジンではなく他の個性で勝負する軽自動車も!!

いいエンジンを造り、載せる車体で個性を演出した軽自動車!

ホンダの軽自動車Nシリーズはエンジンは基本ターボ、NA(ノンターボ)共にエンジンは1本です。エンジン屋さんのイメージが強いホンダは「いいエンジン作ったんだからいちいち変える必要無いでしょ?」と言わんばかりに強気です!

そのかわり、ホンダは車体の造りや、ミッション(CVT含む)等で車の個性を演出しています。両極端の2車種をご紹介します。

軽自動車に最高の実用性を!!N-BOX!

開発者が女性目線で仕上げた実用性とスタイルを重視した軽自動車です!

軽自動車唯一の本格ミッドシップスポーツ!!S660!

ミッドシップオープンスポーツとして専用開発された至高の軽自動車。その走りは普通車のスポーツカーに劣らないドライブフィールです!!

実はこの2台。搭載されているエンジンは全く同じなんです。スペック上でも違うところは全くありません。ワゴン車とスポーツカーのエンジンが同じなんて驚きですよね!!

エンジン型式:S07A 水冷直列3気筒DOHC12バルブターボ
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:10.6kg・m(104N・m)/2600rpm
内径×行程:64.0mm×68.2mm
圧縮比:9.2

JC08モード燃費
N-BOX:22.0km/リットル
S660:24.2km/リットル

燃費が違うのは車重が100kg以上違うので当然と言えます。この2台の走りの個性はCVTのギヤレシオにあります。

ワゴンは優雅に!スポーツは鋭く!

N-BOXは自然に加速するスムーズなフィールを、S660は鋭く加速できるスポーティなフィールをギヤやアクセルの味付けで演出しています。

Honda独自の制御「G-Design Shift」を専用セッティング。キックダウン時のGの立ち上がりと一定のGが長く持続する加速感を実現するとともに、エンジン回転数が車速と合わせてリニアに上昇する設定とすることで、人の感性に合わせた気持ちの良いフィーリングとしている。

出典:http://www.honda.co.jp

細かい数値は割愛しますが、ホンダはワゴン、乗用車、スポーツカーで明らかに同じエンジンで、馬力、トルクも同じでありながらその他の演出で個性を出しています。

軽自動車にも全く手を抜いていません!スゴイです!

知ってましたか?ホンダのNシリーズはF1の開発者が造っているんです!

ホンダびいきかと思われますが、実はホンダの軽自動車Nシリーズは本当にF1の開発者が関わっているんです。

軽自動車だからとただ維持費の安さだけでなく、所有する喜びも今の軽自動車は与えてくれています。

Nシリーズ共通のS07A型エンジン!

軽自動車故に64馬力の制限はあるものの、F1開発技術者が開発に参加した珠玉のエンジン!

F1のエンジン開発の経験を生かせた部分は

 「バルブがたくさん開いて空気が入れられるように、F1のエンジンでも使われているロッカーアームやV6エンジンに使われているハイドロリックアジャスターを使っている。部品代は少し高くなったが、トータルの製造コストは変わっていない」

出典:http://sankei.jp.msn.com

ホンダ技術研究所四輪R&Dセンターの浅木泰昭主任研究員のコメントです。本当にホンダの軽自動車にF1開発者が参加しているんです!!

現在の軽自動車は高度な技術が投入されています!!

現在の軽自動車は64馬力自主規制という枷はあるものの、だからこそ磨いてこられた車ごとの個性があります。

昔のフィールを現代に!アルトワークス!!

最初にご紹介したアルトワークスが現代に蘇りました。ベースのターボRSとの乗り味の違いは、昔のアルトワークスを知らない方でも体感できると思います。

このアルトワークスはベースのターボRSと同じエンジンです。


いかがでしたでしょうか?

スポーツモデルに限らず、今の軽自動車は馬力にこだわらなくても楽しく選べます。皆さんもご自分の使い方、趣味に合った軽自動車をご覧になって試乗してみてはいかがでしょうか?

この記事で皆さんの軽自動車の印象が少しでも良くなれば幸いです。

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