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魅惑のエンジン、ロータリーエンジン!そのメリットと仕組みとは?

レシプロエンジンが普及している現在の自動車産業の中で、構造も動作もメリットも異なるロータリーエンジンは登場以来、多くの自動車ファンを魅了し続けています。一体、ロータリーエンジンとはどういうものなのか、その構造からメリットまで詳しく解説します!

ロータリーエンジンって?

ロータリーエンジンと耳にしたことはあるけどどんなものかは知らない。どんなメリットがあるの?と思う人も多いでしょう。
ここではまず、ロータリーエンジンとは何かを見ていきましょう。

ロータリーエンジンは、ハウジングと呼ばれる部屋の中をローターが回転するタイプのエンジンを指します。ここでは、その中でもフェリクス・ヴァンケルによって発明されたヴァンケルエンジンについて見ていきます。

ロータリーエンジンは、レシプロエンジンと異なってピストンを持ちませんが、おにぎり型のローターとまゆ型のハウジングによってレシプロエンジンと同じように、吸気・圧縮・燃焼・排気の4サイクルを行います。

ロータリーエンジンの内部構造をCGで再現

燃焼室はローターの各辺に1つずつあるため、ローターが一周する間に3回の燃焼が起こります。またこの間にローターを回しているエキセントリックシャフトは3周しています。

さあ次はいよいよロータリーエンジンのメリットについて解説します!

ロータリーエンジンのメリットは?

ロータリーエンジンには、たくさんのメリットがあります。
ここではその中からいくつかのメリットを紹介しましょう!

メリットその1:何と言ってもコンパクト!

ロータリーエンジンは、同じ出力のレシプロエンジンと比べてコンパクトであるため、搭載位置の自由度が増すことがメリットとして挙げられます。

メリットその2:高出力!

1回の燃焼の間に、レシプロエンジンはクランクシャフトが2回転しますが、ロータリーエンジンの場合エキセントリックシャフトが1回転しかしないので排気量が実質2倍になります。
そのため同じ排気量でも高出力というメリットがあります。

メリットその3:低振動・低騒音!

ロータリーエンジンは、ピストンの往復運動を伴わずローターの偏心量も大きくないため、振動が少なく機械騒音も少なくなっています。

メリットその4:悪い燃料でも動く!

ロータリーエンジンは燃焼温度が低いため、点火プラグによる発火の前に自然発火してしまうノッキングが起きにくくなっています。これによってノッキングの起こりやすさを示すオクタン価の低い、粗悪な燃料でも動くというメリットがあります。
また燃焼温度が低いために、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)含有量が少ないというメリットもあるようです。

メリットその5:甲高いエンジン音!

マツダ787B あまりの快音に観客から拍手

このロータリーエンジン特有の甲高いエンジン音もメリットの一つと言えるでしょう。

ここに挙げたメリットの他にも、構造部品の数が少ないということや、トルクの変化が少ないことなどがロータリーエンジンのメリットとして挙げられます。

ロータリーエンジンのデメリットって・・・?

残念ながらロータリーエンジンにはレシブロエンジンと比べてデメリットも存在します。

デメリットその1:燃費が良くない

低回転時には吸気効率が悪く、また燃焼室の形状も扁平であるため、燃焼効率はあまり良くありません。結果として燃費もあまり良くないものになっています。
例)マツダRX-8の場合 9〜10km/L

デメリットその2:排気ガスにHC(炭化水素)が多い

ローターの各辺にある燃焼室の形状が扁平なため、端の方では完全燃焼しづらく、完全に燃えなかった燃料のHC(炭化水素)が排気ガスに混ざってしまいます。

デメリットその3:オイル減りが早い

ローターがハウジング内を回転する際に、潤滑油として多量のオイルを必要とするため、オイルの消費量が多くなってしまいます。

これらのデメリットをなくすために、近年では水素を燃料とした水素ロータリーエンジンの研究開発が進められいているようです。

ロータリーエンジン、開発の歴史

発明

フェリクス・ヴァンケル

1959年にドイツのNSU社(現Audi)とドイツ人技術者のフェリクス・ヴァンケルによって発明されました。

マツダによる研究開発

マツダ(当時東洋工業)は、ドイツのNSU社(現Audi)への技術者の派遣や、自社でのNSU製ロータリーエンジンの改良などを経て、1967年に国産初のロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツを発売しました。

新しい未知のエンジンの発展に日本の技術が寄与していたんですね!

ロータリーエンジン搭載車

ロータリーエンジンを搭載した自動車の一部を紹介します!

マツダ 初代・コスモスポーツ

1967年発売の、世界初の実用・量産ロータリーエンジン搭載車です。

マツダ 初代・サバンナRX-7

自然吸気水冷2ローターエンジンを搭載しています。

マツダ RX-7 FD3S型

サバンナRX-7の後継車で、654cc×2ローターのエンジンを搭載しています。

マツダ RX-8

事実上のRX-7後継車で、2016年現在、マツダが発売していた最後のロータリーエンジン搭載車です。

NSU ヴァンケルスパイダー

1964年発売の、世界初のロータリーエンジン搭載市販車です。

マツダ 787B

1991年のル・マン24時間レースでロータリーエンジン搭載車として初優勝をした車両です。

レース用の車両にもロータリーエンジンが搭載されていたなんて驚きですね。

終わりに

ここまでロータリーエンジンの構造とメリットについて見てきました。
多くの人々を魅了してきたロータリーエンジンですが、その秘密は数多くのメリットにあるのかもしれません。
これからも技術的な進化とそのメリットを生かし、デメリットをなくすための開発が楽しみなエンジンですね。

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