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冬のタイヤであるスタッドレスタイヤを夏はどうしておくの?

スタッドレスタイヤは冬のタイヤです。では夏はどのように保管していますか?この夏の保管の仕方でスタッドレスタイヤの寿命が大きく変わります。今回はスタッドレスタイヤの夏場の保管方法をご紹介します。併せて、夏場にスタッドレスタイヤを履く危険性も紹介します。

スタッドレスタイヤってどんなタイヤ?

スタッドレスタイヤって毎年、冬になると耳にするけど、使ったこともないし、よく知らない…という方はいませんか?
今回はスタッドレスタイヤについていろいろなことを紹介します。
まずは手始めにスタッドレスタイヤがどういうタイヤなのかを紹介します。

スタッドレスタイヤは「タイヤの溝の深さ」と「ゴムの柔軟さ」が特徴です。
これは雪道を安全に走行するためですが、タイヤの深い溝は排水性を高めます。また、ブロックに刻まれたサイプ(細溝)は表面の水を吸い取り、引っ掻く(掴む)という働きがあります。
そして、この働きを積極的にするために、ゴムは低温でも柔軟さを失わない特殊なものが使用されているのです。
スタッドレスタイヤはこの状態が良好に保たれている条件下で、本来の性能を発揮します。

つまりスタッドレスタイヤは正しく使用し、きちんと保管しなければ、性能が発揮されにくく、さらには寿命が違ってくると言われています。
スタッドレスタイヤの寿命は3~5年と言われていて、走行距離にもよりますが、もし保管状態が良くて5年使えた場合と保管状態が悪くて3年で交換した場合、それぞれを10年間比べると1セット分多く購入するかしないかの違いがでます。
ゴムの柔らかいスタッドレスタイヤの苦手な夏をまたいで保管するため、夏の高い温度や湿度、強い紫外線からゴムの劣化を守る必要があります。

今回は冬に大活躍するスタッドレスタイヤを夏の間、どのように保管しておけばいいのか、夏にスタッドレスタイヤを履いているとどうなるのかを紹介したいと思います。

夏のスタッドレスタイヤの保存方法

まずは、冬場の仕事を終えて履き替えさせたスタッドレスタイヤの保存方法を紹介します。
外したままの状態で保管している人が多いと思いますが、タイヤが長持ちする保管方法なので、ぜひ実践してみてください。

実はスタッドレスタイヤの保管方法には色んな意見があり、スタッドレスタイヤを扱っている大手企業でさえ意見が分かれているのです。
JAFやミシュランでは「縦置き」を推奨していますが、 ブリヂストンでは「平積み」を推奨しています。
ただ、保管方法に関する共通認識の部分もあります。

外したスタッドレスタイヤを良く洗った後に乾燥させます

普段タイヤを洗う用途のシャンプーで構わないのですが、十分にすすいで下さい。
又、洗った後は乾かすなりして、水分を完全に取り除いて下さい。

空気圧を調整する

変形防止のためになるべくホイールにはめたまま保管する。
タイヤゴムの劣化を防いだり、サイドウォールの柔軟性を維持するために、タイヤの空気圧は1.5kgf/cm以下で保管することを推奨しています。

市販のタイヤカバーに入れる

無ければタイヤがスッポリ入る様なビニール袋で代用できます。
ビニール袋に入れる場合は新聞紙等を入れておくと、湿気を吸収し湿度を保てます。

このように、スタッドレスタイヤの保存方法には大手企業共通の認識があります。
ゴムの柔らかいスタッドレスタイヤだからこそ気を付けるべきことが多いのです。
特にゴムの大敵である紫外線と湿度は非常に重要です。

次はそれらを踏まえたうえで保管場所と置き方について見ていきたいと思います。

夏のスタッドレスタイヤの保管場所、置き方

次はスタッドレスタイヤの保管方法でと置き方についてご紹介します。
スタッドレスタイヤの保存で注意すべき点は紫外線(直射日光)・湿度・温度変化などです。
夏はそのどれもが非常に厳しいですよね。
暑い夏を乗り切る保管場所、置き方とはどんなところでしょうか。

では、早速スタッドレスタイヤの置き方と保管場所を紹介していきます。
前述の通り、「縦置き」「平積み」で意見が分かれているため、そのどちらも紹介しますので、自分が可能な保管方法を実践してみてください。

平積みの場合

床に直接置かない様に台となるもの(樹脂製のすのこや煉瓦など)の上に横に置くようにして下さい。
積み重ねるのはスタッドレスタイヤだけでなく、タイヤ自体に良く無いのですがもし積み重ねるしかスペースが確保できない場合には一番下のタイヤに負担が掛かりますので、定期的に順番を入れ替えるようにローテーションして下さい。

縦置きの場合

縦置きの場合は出来れば市販のタイヤラックを使用するのが良いと思います。
タイヤラックであれば1年程度の保管でフラットスポットが出る事はありません。

保管場所

タイヤは4本もあり、非常にかさばりますよね。
ガレージや倉庫がある方なら、直射日光や雨風をよけられる場所を選んで置いてもらえばいいのですが、アパートやマンションともなるとベランダぐらいしかありませんよね。
そんな時はカバー付きのタイヤラックなどに置いて、適度に湿度を逃がしてやるしかありません。

それでも置き場がない方は有料でタイヤを保管してくれるサービスがあります。
オートバックスやイエローハットなど、多くのタイヤ関連ショップが預かってくれるようですので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

スタッドレスタイヤを夏に履くと?

さて、ここからは冬のタイヤであるスタッドレスタイヤを夏場に使用するとどうなるのかを見ていきたいと思います。
冬の間使用したスタッドレスタイヤを、春~夏へ向けて使い続けた場合どうなのでしょうか。
本来、冬専用タイヤであるスタッドレスタイヤを、夏場も使用し続けることに対しての危険性は無いのでしょうか。

実は今、使っているスタッドレスタイヤの使用限界を感じ、来シーズンは新品にすることを前提に履きつぶそうと交換しないで春~夏も使い続ける人は、毎年15%前後にものぼるのだそうです。
しかし、実はこのようなスタッドレスタイヤの夏場の使用は危険性をはらんでいるようです。

冬にはかなりの効果を発揮するスタッドレスタイヤですが、実はこのスタッドレスタイヤの特徴が夏場の路面では弱点となり、事故に繋がる可能性があるのです。
スタッドレスタイヤの「柔らかいゴム」は、特に夏場の高速走行などでは夏タイヤに比べ激しい熱を持ちやすくなります。
その場合、変形しやすくその状態での走行は、乗り心地が悪くなるばかりではなく運転性能も著しく低下し、破裂の可能性が非常に高まります。
更に、空気圧の不足などの場合も破裂の危険性が心配されます。

また、スタッドレスタイヤのもうひとつの特徴である「タイヤの溝の深さ」は、通常路面では接地面積が少なくなり摩擦が大幅に減少します。
これにより夏タイヤと比較して、ブレーキの効きが悪くなり制動距離は大きくなります。更にコーナリングもその限界が大幅に低下します。
ここでスタッドレスタイヤとノーマルタイヤのブレーキ比較実験の動画をご覧ください。

スタッドレスタイヤVSノーマルタイヤのブレーキ比較実験

スタッドレスタイヤは本来、雪道を安全に走行することを想定して製造されています。
昨今のスタッドレスタイヤは雪のないドライの高速道路でも快適に走行できるよう以前より改善されていますが、それでも夏タイヤとの性能差は歴然です。
よって、履きつぶそうと夏タイヤへ交換しないでスタッドレスタイヤを気温が上がる春から夏へも使い続けることは、快適性もそうですが安全面から考えても大変危険であると言えます。

夏のスタッドレスタイヤのまとめ

いかがでしたか。

夏にスタッドレスタイヤを履いていて事故を起こす車が近年増えてきています。
スタッドレスタイヤを使い切りたいという一心での行為である者の、本来、安全に走行するために履いているタイヤが原因で事故が起きるのは非常に残念ですね。
また近年は過去に積雪がなかった地域でも積雪があることがありますので、油断せず冬が近づいてい来たら夏タイヤからスタッドレスタイヤに履き替える準備をしておきましょう。

夏場はきちんとノーマルタイヤを履いて、スタッドレスタイヤは次の年へつなぐためにきちんと保管しておきましょう。
寿命が来た場合は使い切るという意識は捨てて、いさぎよく破棄しましょう。
スタッドレスタイヤは寒い季節にこそ性能を発揮します。
正しく使って、安全なカーライフを送ってください。

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