登場から20年が経った現在でも強い人気があるフェラーリF355の魅力！

　フェラーリF355は、イタリアの自動車メーカーのフェラーリが1994年から1999年にかけて製造、販売したリアミッドシップエンジン・後輪駆動のスポーツカーです。

　フェラーリF355は、フェラーリのスポーツモデルのボトムエンドを担うモデルとして、フェラーリ348の後継車として登場しました。

　このボトムエンドのモデルは、古くは若くして亡くなったエンツォ・フェラーリの長男の名前を冠した「ディーノ」のブランドで販売された206GTに端を発するもので、1970年代半ばのディーノブランドの廃止でフェラーリのラインアップに組み込まれたという経緯があります。

　本流とも言うべきV12エンジンを搭載した大型のフェラーリに対して、この軽量で小型なレンジを担うモデル群は代々、ピッコロ・フェラーリと呼ばれて親しまれました。その魅力は、絶対的な動力性能ではなく、軽快な運動性能にありました。しかし先代の348では、その性格をスーパースポーツ志向に変化させました。

　基本的なシルエットは348を引き継ぎますが、エクステリアの細部やエンジン、シャーシ、サスペンション、ギアボックスなどは新設計で、その性能も含めニューモデルといっても過言ではありません。355の名前は搭載されるユニットに由来します。348は3.4Lの8気筒でしたが、F355は、3.5Lの5バルブエンジンを意味します。2シーターモデルとしては、これまでのピッコロ・フェラーリの排気量+気筒数という命名法から逸脱した、はじめてのモデルとなりました。

　1997年にはF1と呼ばれる2ペダルセミATモデルも登場。ハンドル裏側のパドルでギアチェンジを行うもので一時は生産台数の7割以上を占めたそうです。

　ミッドに搭載されるのは380psを発生する3.5LのV8DOHC40バルブ。スーパーカーとは思えない軽いクラッチやパワーアシスト付きのハンドルなど誰もが楽しめるスポーツカーになりました。

　フェラーリF355のデザインは基本的な部分は348のそれを踏襲しつつも、エクステリア、インテリア共に、348よりも、より洗練された印象になりました。デザインは引き続きピニンファリーナが担当しています。

　エクステリアは基本的なシルエットは348と同じ雰囲気ですが、フロントマスクはやや丸みを帯びています。エンジンの吸気口も特徴的だったフィンが廃され、平面的なすっきりとしたデザインに改められました。

　フェラーリF355の車体は、前身の348の構造を受け継いでいます。すなわち、モノコックを基本としつつ、一部に鋼管フレームを残した、セミモノコック構造です。

　インテリアもダッシュボードの形状は348のものを踏襲していますが、標準で革張りとなるなど、ラグジュアリーな雰囲気が強まっています。またセンターコンソールとダッシュボードは一体型ではなく、切り離されています。結果、F355のインテリアはミッドシップスポーツカーらしい雰囲気が強くなっています。

　 当時の新車価格は1550.0万〜1735.0万円だったそうです。

　フェラーリF355の中古車市場での価格は770万円～1898万円、平均価格は1000万円前後といったところです。

　フェラーリ348の欠点を解消して、良い部分を引き伸ばし、更にパワステやF1マチックにより運転のハードルも下がったフェラーリF355は、ライバルのポルシェ911が持っているようなオールラウンダー的な性格を新たに身につけ、ヒット作となりました。フェラーリF355の生産台数は11,273台に達し、フェラーリの単一車種としては、はじめて1万台を突破しました。

　フェラーリF355について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。フェラーリF355の販売はすでに終了していますので、手に入れるとしたら中古車市場ということになります。結構流通しているようですので、フェラーリF355に興味をもたれた方は探してみてください。

　最後まで読んでいただき、ありがとうございました。